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2017年2月12日 (日)

『日々の光』

20170212 ジェイ・ルービン著(柴田元幸・平塚隼介訳)
『日々の光』 新潮社 2015

村上春樹や芥川龍之介の作品の英訳者として知られる
ジェイ・ルービン氏による長編小説です。

戦前のシアトルで日系人に布教をはかる白人牧師が、
日本の中国占領、そして真珠湾攻撃に至るという戦況によって
態度を変化させていく様子は、ショッキングではありますが
理解できることに感じました。

こうして、日系人への逆風が吹き荒れる世論の中、
在米の日系人たちが、どのような処遇を受けたのか。
どのような経緯で移送され、
砂漠地帯の中の強制収容所での生活が、どのようなものだったのか。。。

これは、本当に衝撃的でした。
最終的なゴールとしてのガス室送りこそなかったものの、
実態は、ヒトラー政権下のユダヤ人収容所と同様なものだ、といった記述もあったかと。
このあたりは、読んでいて辛くなります。

ただ、本作の主眼は、ここではありません。
主人公は、冒頭の牧師の息子、ビリー・モートン。
彼が、幼少時に「ミツ」と呼んで慕っていた女性は、いったい誰なのか。。。

いわゆる「母」探しの中で、
彼自身の手で、米社会の中の「日本」を見出し、居場所とし、
フルブライト留学の大学院生として来日。
終戦後もアメリカに対する暗い感情を抱く日本人も含め、
さまざまな日本人と交流するなかで、日本への理解を深めていきます。

少年ビリー、青年ビリーの目を通して書かれる現実と
戦前、戦中の描写が行き来する構成の本書は、
冒頭からスリリング。
そして、ついに。。。

昭和30年代の女性の振る舞い、父親の威厳、等々
ああ、こういう時代だったな……と、改めて気づかされました。

まさに大河ドラマ。
これを1980年代に書いたというルービン氏に脱帽です。

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