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2017年1月14日 (土)

 『村上春樹と私』

2017114book ジェイ・ルービン
『村上春樹と私 日本の文学と文化に心を奪われた理由』
東洋経済新報社 2016

NHKラジオ第2

「英語で読む村上春樹」という番組をここ数年聞いていて、
ジェイ・ルービン訳
というフレーズを何度も何度も聞いていたこともあって、
この本を手に取りました。

1941年ワシントンDC生まれというルービン氏、
シカゴ大学在学中、漱石の専門家である恩師の熱意ある講義に触れ、
「日本語で読めたらどんなに楽しいだろう」
と、日本文学を専攻し、明治期の文学の研究を始めたとのこと。
博士論文は国木田独歩!

明治の作家たち、つまり「死んだ人」を研究していた氏、
1989年に、アルフレッド・バーンバイム氏による翻訳で
村上春樹の『羊をめぐる冒険』がアメリカにおいて大人気となって、
春樹を知ったとのこと。
出版社から、翻訳の価値判断を頼まれ、
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んで仰天。
春樹ワールドにすっかり魅せられ、ぜひ翻訳すべき、自分が手掛けたい
と猛アピールするも、当初はかなわず。
それでも手あたり次第に村上作品を読んで、授業でも取り上げたとか。

私は完全に村上作品に魅了されたのだ。わざわざ私のために書かれたかのようだった。村上さんのユーモアのセンスが気に入った。時間の経過や記憶の頼りなさのテーマの書き方が好きだった。

一番好きな作品『パン屋再襲撃』『象の消滅』の訳文を書いて
村上春樹本人の住所を調べて郵送したところ、春樹自身から電話がかかってきて…

まるで小説そのものの展開です。
また、翻訳したいと取り上げる村上作品が、
バーンバイム氏ルービン氏で、きれいに分かれる、重ならない、
というのが大変面白く思いました。

春樹との交流のほかにも、
漱石作品との関わりや、三島由紀夫の割腹の衝撃、
誤訳を指摘されての経緯、翻訳というプロジェクトの進め方、支援体制
などについても綴られていて、大変興味深かったです。
ルービン氏、真摯に仕事に取り組まれるかたであり、
家族、周囲の人々に対して常に誠実であることが、随所から読み取れました。

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