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2016年12月16日 (金)

『ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く』

20161216chopin 青柳いづみこ 
『ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く』
中公新書2016

コンクール期間中から、ネット経由で
いろいろ読んではいたので、
改めて買わなくてもいいかなあ……などと思っていたのですが、
図書館で借りて読んでみたら面白くて、
結局購入してしまいました。

膝を打って納得したのが、
先日、生演奏に度肝を抜かれたボジャノフ(→)のエピソード。
そのスケールにまさに圧倒された私ですが、
2010年の第14回ショパコン4位の彼、
「第三次予選までは90点以上を得ていたのにファイナルの協奏曲だけ不調だった」
とのことで、直前の採点方式の変更により、第4位に後退したのだとか。
そのボジャノフ、結果を不服として
「すべての入賞者演奏会への出場をボイコット」し、賞金もナシになったそう。

もしクラシックのコンクールにスポーツ裁定のようなシステムがあったら、
決定がくつがえるかどうかは別として、
少なくともボジャノフは訴えてもよかったと思う。(p.83)


ここまで書いてしまうあたり、青柳氏も潔いですね。

こういったことの背景には、審査員のビリーフ
「ロマンティック派」vs「楽譜に忠実派」のせめぎ合いがあり、
「楽譜に忠実」の指す内容が何か、の解釈も一枚岩ではないため、
未だに揺れている、という指摘、まさにその通りと感じました。

協奏曲については、もう一点、
「そうか、そういうことか!」と目からウロコだったことが。
2012年の浜松国際コンクール、
佐藤卓史が「見事なアンサンブルをきかせて室内楽賞を得た」が、
ラシュコフスキー(優勝者)は
「弦楽器とうまくコミュニケーションをとることができなかった」
それなのに
「ファイナルの協奏曲になったら、立場が逆転してしまった」というくだり。

佐藤くんは、指揮者とアイコンタクトをとろうとして、ことごとくはずされ、
3位に終わったのに対し、ラシュコフスキーは
「委細かまわず自分のペースを貫いて」優勝、というのです。
(私も記事にしてました→

有無をいわせぬ力でオーケストラをも圧倒する弾き手と、
室内楽で他者と溶け合おうとする弾き手は、
良い悪いではなく違う脂質なのだとつくづく思う。(p.194)


そうそう、そういうことを私も言いたかった!と不遜にも思いました。
……あ、気づけば本書の主眼点、2015年ショパコンには触れず仕舞い。
ご容赦を。(^^;

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