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2016年7月 1日 (金)

『六の宮の姫君』

0701rokunomiya 北村薫 『六の宮の姫君』 創元推理文庫 1999

文庫版は1999年刊ですが、初出は1992年のよう。
文庫の扉裏に

"A GATEWAY TO LIFE" by Kaoru Kitamura 1992

とあります。
創元推理文庫って、英文タイトルをつけるお約束なのだとか。
確かにこの日本語タイトルの英訳って、意味不明になるでしょうが、
意訳中の意訳、といった感じですね。
もちろん、この本の内容とも深くかかわる訳なのですが、
北村氏自身のデビュー後まもないころ、
それも氏自身の卒論にまつわる作、との背景も汲んだものかと。

さて、前回の記事で
「これは昔読んだ」と書きましたが、これ、記憶違いでした。
読んだ記憶、まったくありません。
本作、近代文学にまつわる累々たる知識のなせる技、
国文学専攻の女子大生「私」の書く卒論~テーマは芥川龍之介~
にまつわる謎解きです。
「六の宮の姫君」は、芥川が書いた短編。それを評して、芥川本人
「あれは玉突きだね。……いや、キャッチボールだ」と表現したという、
その言葉の意味を探るものです。
そこにたどりつくまでに、
「私」が円紫師匠からどのような助言を得、
アルバイト先の出版社で、はたまた国会図書館で、地元の図書館で、
いかなる調査を行ったのか、丁寧に描かれていきます。

実は、この私PIOも昔は国文を専攻していましたので、
なんだか身につまされるような、
忘却の彼方だった知識を呼び戻されるような、
はたまた全然知らなかった知識を得るような、
不思議な懐かしい感覚で読みました。

ちょうどジャスト・オン・タイムの仕事関連でも、
漱石、有島、志賀、芥川、川端、太宰、三島と扱ったところで、
この本で芥川の文壇交友関係などを知り、
そのまま授業に使えるぞ!
と嬉しかったりもして。

7月24日、35歳で逝った芥川をしみじみ偲ぶ気分となりました。

今もなお、というか、今ますます話題となっている芥川賞、直木賞、
菊池寛が創設したものでしたね。
大衆文学、純文学、という構図などにも改めて思いを馳せました。

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