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2016年6月15日 (水)

『クロイツァーの肖像』

Kreutzer 萩谷由喜子
『クロイツァーの肖像 日本の音楽界を育てたピアニスト』
ヤマハミュージックメディア2016


クロイツァーという名前は聞いたことがあるものの、
どのような功績の方なのか、日本との関係はいかなるものなのか
全く知りませんでした。
「ヒトラーの野蛮極まりない人種政策と残虐な戦争さえなければ、ヨーロッパの第一級のピアニストとして順風満帆な音楽人生を歩み、音源や自筆作品をはじめ多くの資料がベルリンに残されたであろうクロイツァー」(本文あとがき)

その人が、
1935年(51歳)以来、69歳で没するまで、終生日本に住み、
多くの音楽家を、いえ、本のタイトルにあるように日本の音楽界を育てた
ということを初めて知りました。

また、1919年のロシア革命を機に、
多くの白系ロシア人(共産思想の「赤」ではないことを称して「白系」という)が、
日本に流れ込んできていたこと、
そうしたロシア人たちの多くが、ピアノをはじめとする音楽界で
指導者的役割を果たしたこと(ロシアでの本職は音楽ではなかった人々も多々)、
彼等の多くは、在野の民間人として弟子をとっていたこと、
クロイツァーが、一時滞在の日本ツアーでは大歓迎されたにもかかわらず、
日本に居を構えることにするや演奏機会が与えられなくなった事情には
「お雇い外国人」選抜が行き当たりばったりに行われた影響もあったこと、
などなど、
音楽界の流れを知る上でも大変興味深くわかりやすい本でした。

「レオニード&豊子 クロイツァー夫妻に捧ぐ」
というこの本の献辞、
二人の婚約を伝える新聞記事の紹介から始まり、
クロイツァー賞を受賞した現代の若手ピアニストの活躍を紹介して終わる
という構成も、お洒落で読みやすいと思います。

芸大音楽学部構内にあるクロイツァーの記念碑には

「音楽は魂で感じとられるもの
音楽を理解するだけでは充分ではない レオニード クロイツァー」


と記されているとのこと。
彼に対する畏敬の念を抱かずにはいられらない内容満載でした。

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