無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« 書く女 | トップページ | 石田泰尚の華麗なる世界2016 »

2016年2月19日 (金)

『五色の虹-満州建国大学卒業生たちの戦後-』

20160219book三浦英之 『五色の虹-満州建国大学卒業生たちの戦後-』
集英社 2015

衝撃をうけました。

日中戦争当時の1938年、
満州国 新京市(現・長春市)に、

「民族協和」を建学の精神とし、
すべてを官費で賄う全寮制の大学
建国大学  が創設され、
日本人、朝鮮人、中国人、モンゴル人、白系ロシア人
の若者たちが、6年もの間、寝食を共にして学んでいた…。

当時の社会情勢の中にあって、
建国大学の入学生には「言論の自由」が存在し、
若者たちは、日々熱く、将来について語り合っていた…。

厳しい選抜を通った彼らは
「神童」「秀才」と呼ばれる、まさにエリート中のエリートでありながら
日本の敗戦となるや、過酷な人生を余儀なくされるのです。

本書は、そんな元「建大生」数名について、
新聞記者である筆者が、2010年に
日本、中国、韓国、モンゴル、台湾、カザフスタンを訪ね歩いて
取材したものです。

実は私自身、まだ本書の内容を消化しきれず、
うまく読後感を綴れないのが正直なところです。
モンゴル、カザフスタンに日本人抑留者の墓があるという事実すら
これまで認識していませんでした。

学問とは、生きる姿勢とは、社会とは…
これから、ゆっくり考えてみたいと思いました。
今日のところは、本書から少し抜き書きするにとどめておきます。
多くの人に読んでいただきたい本です。


◆1956年にやっと日本に帰国した元学生、百々の言葉(pp.101-102)
建国大学は徹底した「教養主義」でね……
在学時には私も
「こんな知識が社会で役に立つもんか」
といぶかしく思っていたが、実際に鉄砲玉が飛び交う戦場や
大陸の冷たい監獄にぶち込まれていたとき、
私の精神を何度も救ってくれたのは紛れもなく、
あのとき大学で身につけた教養だった。
歌や詩や哲学というものは、人が人生で絶望しそうになったとき、
人を悲しみの淵から救い出し、目の前の道を示してくれる。
難点は、それを身につけるためにはとても時間がかかるということだよ。

◆1943年、学徒出陣に向かう朝鮮人学生へ向けた元教師の言葉(p.211)
軍隊は民族にとってなくてはならない最大のものであり、
独立時にはそれらの知識と経験が絶対的に必要になる。
君たちは日本のために戦うのではなく、
軍とは何かを学ぶのだ。

« 書く女 | トップページ | 石田泰尚の華麗なる世界2016 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

満州建国大学、知りませんでした。
先人達の熱い思い、胸が痛いです。
当然ですが、戦争は、やってはいけませんね。
教養が救ってくれた、
実体験した方の言葉がしみじみきます。

晴れ女さま

本当に、戦争の冷酷さをしみじみ感じました。
純粋に世のことを考え、切磋琢磨していた才能豊な若者たちが、
戦争に負けた途端に、
その大学に属していたこと自体を「隠すべき過去」とせざるを得ず、
酷い場合は、そのことで拷問まで受けることになるのです。

本来ならば、ひとかどの人物となっていたはずなのに…
という周囲の言葉とは裏腹に、
80歳を超えた本人たちが、決してひねくれたり他人を恨んだりはせず、
自分の人生はこれでよかった、と淡々と語っていることにも驚かされました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 書く女 | トップページ | 石田泰尚の華麗なる世界2016 »