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2016年1月15日 (金)

『ヨイ豊』

梶よう子 『ヨイ豊』 講談社 2015

Yoitoyo 「よいとよ」と読みます。
その意味は、小説最後のほうではっきりします。
本の装丁からわかるように、浮世絵師を描く小説です。

梶よう子氏、図書館の本棚でよく目にしていましたが、
今回初めて読みました。
生き生きとした会話と、
堅苦しくない、でも、くだけすぎない地の文で、読みやすいです。
さすが直木賞候補作、ストーリーも読ませます。

「歌川豊国」の名を誰が継ぐかを巡り、悩む二代国貞を描く
というのが中心主題の一つ。
本の扉を開けて、すぐ右側の頁に挙げられているのが

安政五年(1858) 九月六日、初代歌川広重没。享年六十二。
文久元年(1861) 三月五日、歌川国芳没。享年六十五。
元治元年(1864) 十二月十五日、三代歌川豊国(初代国貞)没。享年七十九。

の三行。
江戸末期、この三代豊国の法要の場から幕が開きますが、
途中、時をさかのぼって、
三代豊国が活躍したころの江戸の町、人々の様子も活写されます。

ストーリーが読みごたえのあるものだったことはもちろん、
個人的には、「江戸」と「明治」の境目となる時代、
江戸から東京へと変身を遂げゆく町、住人のもがく様子が印象に残りました。

主人公も没し、街はすっかり文明開化の東京となった後、
終章において、美術学校の助教に
「町絵師風情の、ただの画工」
「所詮は大量の摺物」

と嘲られる浮世絵師、浮世絵。
「浮世絵など、この近代日本にはそぐわない、雑駁なつまらぬ画でしかない」

こうした背景には、江戸という時代を目の敵にせざるを得ない
薩長政府の意図も働いていたということにも、初めて気づきました。
芸術とは何だ、という大きな問いも含め、読み手に響くものが多々。
いい本でした。

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