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2016年1月 8日 (金)

『鉄道への夢が日本人を作った』

Tetudo 張彧暋(チョーイクマン)著 山岡由美訳
『鉄道への夢が日本人を作った 資本主義・民族主義・ナショナリズム
朝日新聞出版2015

1977年生まれ、香港出身の若き研究者による英語論文の日本語訳。
一般人にも読みやすいように、訳者がかなり手を入れたとのことで、
それは成功していると思います。

  • 序章 鉄道という夢と謎――日本の読者に向けて
  • 第1章 資本主義の誕生と鉄道の敷設(1868-1906年)
  • 第2章 近代国家と民主主義と鉄道(1880-1936年)
  • 第3章 国民意識と鉄道(1890-1937年)
  • 第4章 結論――国民の夢を乗せて、列車は走る
第1章では、鉄道敷設のための資金調達のなかで、
日本に資本主義が生まれ、旧士族、貴族が資本家として「国民」化し、
日本全国にナショナリズムの気運が育っていったことを、

第2章では、地方が鉄道誘致を陳情するという活動が広まり、
全国に「国民」意識と、政治の力、仕組みが浸透していったことを、

第3章では、天皇の行幸や庶民の観光が鉄道と結びつくことで、
(観光は、時局を反映して神社参拝と一体化して売り出されたために)
国体意識が強化されていったことを、論じています。

結論としては、
さまざまな思惑と偶然の重なった結果として
「鉄道は役立つ」「鉄道は経済発展の基盤」との言説が流布したのであり、
当初から厳然としてあった理念だったのではない、
鉄道は、その他の理念を生み、育てる装置としても機能したのだ
ということかと。

3つの章のつながり、総体としては不統一性もちょっと感じましたが、
なるほど…と思う点が多々ありました。
既に知られた資料を、角度を変えて分析する面白さを覚えました。

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