無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« 『終わらない歌』 | トップページ | 『鉄道への夢が日本人を作った』 »

2016年1月 7日 (木)

『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』

Masuyama 増山実 『勇者たちへの伝言 いつの日か来た道』
角川春樹事務所 2013年

SNSでこの本のことを聞きかじって、
あら、野球関係なら愚息が喜んで読むかも…と酔狂な気を起こし、
図書館で借りてみました。
お正月休み、ついでに私も読んでみようかしらん。。。

浅はかでした。
野球小説などという範疇には収まらない内容でした。

マスコミの世界の下請け的仕事に疲れ果て、
ふと訪ねたのが、幼い頃の思い出につながる野球場があった場所。
駅名「西宮北口」が「いつの日か来た道」という発音に聞こえて…。

ファンタジー的なタイムスリップも織り交ぜ、描かれるのは、
主人公、工藤正秋の父の生きた時代。
戦後の大阪で、貧しいながら将来を夢見て
こつこつと働いていた若い父と、その初恋の女性の人生。
在日韓国人である彼女の北朝鮮行き以来、交差しなかったはずの二人の人生。
戦後の北朝鮮への帰国、あるいは移住、
それがどれほど過酷なものだったのか、
この小説は、事実に基づいて伝えているように思います。
以前に読んだ本(→)で知った、中国文化大革命に通じる仕組みと、
それ以上の長期間に及ぶ苦役、そして貧困。

ラジオの電波がつなぐ日中、日朝。
こういう形の交流を、肌感覚を持って感じられるのは、
今のアラフィフ世代あたりが最後なのかもしれませんね。

いろいろな衝撃の詰まった本でした。
もちろん、ストーリーも楽しめます。お堅い本ではありません。
おすすめです。

« 『終わらない歌』 | トップページ | 『鉄道への夢が日本人を作った』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『終わらない歌』 | トップページ | 『鉄道への夢が日本人を作った』 »