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2015年12月26日 (土)

『暴力の解剖学』

エイドリアン・レイン著 高橋洋・訳
『暴力の解剖学 神経犯罪学への招待』紀伊国屋書店2015

頁をめくると、まず目に入るのが、
ポジトロン断層法(PET)による、脳の活性化を示すカラー画像の群れ。
20151226book 「正常対照群」「殺人犯」といったキャプションとともに。

本書は、暴力事件を起こす要因として、
「脳」そのものの機能不全を考えるべし、とする論文です。
多くのデータがその論拠として挙げられています。

脳といっても、遺伝的にもって生まれたもの、先天的なもの
というだけではありません。
後天的にダメージを受けることもありますし、
「幼少期の共通の性質、成人後の多様性」というように、
その人の受けた教育、生き方によって差も生まれます。

でも、暴力犯罪を犯す人には、
脳に、ある共通の特徴が指摘できる、

自律神経系の異常により、反社会的衝動から逃れられない人々が存在する
それは事実だと納得しました。
衝動的で杜撰な罪を犯す、知能レベルの劣る殺人者もいれば、
「羊たちの沈黙」のレクター博士のような、優秀な脳を持つ殺人者もいて、
それはダメージを抱えた脳の部位が異なるゆえなのです。

こういった危険で特殊な脳が判別できるなら、
それを持つ者は幼少時から特定して、
犯罪を犯す前に、どこかに閉じ込めるべき?
筆者はこうした問いも投げかけます。
……まだ何も悪事を働いていない者に懲罰を下す、そんな世界は嫌でしょう、と。

提案されるのが、薬の投与や、外科的処置、環境の整備など。
事前に行う処置は、国家予算的にもプラスになると予測します。
なるほど。
バランスのとれた論考でした。

さて、「暴力」に特化されたこの論考ですが、
それとは逆の「無気力」「活性化拒否」というタイプも、
その特質は脳のありように帰せられるのでしょうか???
もちろん、こんな人にまで投薬、外科的処置、なんてやっていたら
それこそ、どこまでが個性だ!という話になるのでしょうね。

いろいろ考えさせられる本でした。

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