無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« 息子・覚え書き | トップページ | 田崎悦子2015 三大作曲家の遺言Ⅲ »

2015年11月13日 (金)

『伴奏の芸術』

20151113_142720513_ios ヘルムート・ドイチュ著 鮫島有美子訳
『伴奏の芸術 ドイツ・リートの魅力』ムジカノーヴァ叢書23
音楽の友社1998

素晴らしい本です!
なんとも残念なことに、すでに絶版になっているようですが…。

FM放送で偶然に聴いた歌曲、その伴奏があまりに素敵で、
演奏者の紹介に耳を澄ませて知ったのが、ヘルムート・ドイチュ氏。
図書館の蔵書検索で彼の名前を入力したところ、
ヒットしたのがこの本でした。
ソプラノ歌手・鮫島有美子氏の夫君でいらしたのですね。。。

伴奏者の心得、楽譜の読み方、音楽の作り方、
そして、伴奏者という職業の来し方、行く末…。
目からウロコの説明、興味深いエピソード、満載です。
ピアニストというのは、練習の時にいつまでも引っ掛かるソロの曲の”難しい”部分に、文字通り呪縛を受けているようだ。”残り”にはあまり真剣に取り組まないことも起きる。
でもシューマンの≪子どもの情景≫のような曲に、愛情を込めて極めて綿密に取り組むピアニストなら、いうまでもなく彼の歌曲にも正しい考え方で臨めるはずである。(p.20)
そして、リヒテル、ブレンデル、シフなどの伴奏の名演を挙げた後、
ホロヴィッツ、ポリーニが「普段の水準とは似ても似つかない」情けない演奏をしていることを指摘し、”ただの伴奏”という精神態度を糾弾します。

我々のテクニックの中心となるのは、とりわけ二つ。
音質と確かなリズム感覚である。
そこにアーティキュイションやフレージング、そして想像力豊かなペダルの使い方などが加わってくる。(p.21)


うおお!その通り、その通り、
これら、まさに私の課題点!
で、あまりに多くのことが得られたのですけれども、
今後のために、無理やりまとめてみることにします。

spade正確な譜面の読み方
楽譜を手書きで書いていた作曲家が手間をかけて書いたものを
ないがしろに(「16分休符+16分音符」を「8分音符」として演奏する等)
してはいけない!
さらに、正しい音符を演奏するだけで充分と思うのは作曲家への大きな侮り。
記譜の仕方にも、時代的な差、校訂の誤り、作曲家自身のミス、など
いろいろな要因が絡み合って、本質が見えにくくなっていることも多い。
それを読み解くのは、演奏者自身の教養とセンスと努力。

spade音質
テクニック的に”やさしい”箇所の音質の練習は、
最も繊細なニュアンスでいっぱいの小宇宙への潜水である。
このニュアンスを自分のものにするには、それこそ大変な集中力と忍耐力が必要とされる。私は、この精密な作業に対する愛情を持ち得るかどうかが、偉大な芸術家になるための本質的な試金石であると思う。(p.42)


spadeリズム
ヘルマン・プライが言ったうまい表現
「僕にもっとリズムのコルセットを着せてくれ!」
ただし、かっちりしたリズムが求められる曲と、
堅苦しい退屈な曲にならないように「軽くずらす」ことが求められる曲がある。」
リズム感覚は結局のところ、”血”に取り入れなければならず、それには精神的にも肉体的にも、かなりエネルギーが必要とされる。

spade有節歌曲
歌曲の1番、2番、…の繰り返しをまったく同じに弾くのは愚の骨頂。
我々はテキストの言葉に応じてピアノ・パートの色彩やヴァリエーションを作り出し、演奏で絵を描くことができる。特別な声部を取り出して弾いたり、突然ダイナミックスを変化させたり、アーティキュレーションを変えたりして。(p.54)

spadeペダル
作曲家が歌曲の頭や時折真っ最中で”con Pedale”と書いた場合、これは決してその前はペダルなしで弾くようにということではない。この疑いもなく、時に混乱を呼び起こすような指示は、いつも特にペダルを充分に使うようにという意味である。(p.62)
作曲家によって記譜法に癖があるから、それを飲み込んでおく必要がある。

********

うう。すでに長文になってしまいました。
まだ全体の5分の1ぐらいの分量なのに。。。(;'∀')

« 息子・覚え書き | トップページ | 田崎悦子2015 三大作曲家の遺言Ⅲ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

音楽(個人の記録)」カテゴリの記事

コメント

まあ!この本読んでみたいです。

2年前から始めた声楽の先生が、
とてもお上手な伴奏者で、先生のピアノから、
同じことを感じます。

左手の下支えの音が、時にコントラバスに、
時にチェロに聞こえます。

前奏はその歌の全てのコンセプトが
詰まっています。それを上手に
弾いてくださると、自分の心が歌の中に入り、
自然に歌い出せます。

間奏は下手な私の歌に魔法の粉をかけて
輝かせ、後奏で、画竜点睛のごとく、
最後の音、すなわち龍の目玉を入れ、
完成させます。

途中で私が遅れないよう、強い推進力を持って
リズムを刻みます。

伴奏って、ものすごく大事です。

ananさま

貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございます。

私自身は、歌の伴奏は経験ないのですが(合唱の伴奏をした程度)、
友人たちから、伴奏の中でも声楽が一番難しいと聞いています。
ソリストに、ananさんのように思ってもらえる伴奏ができたら、しあわせですねえ…
いつの日か…と夢見て、がんばります♪

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 息子・覚え書き | トップページ | 田崎悦子2015 三大作曲家の遺言Ⅲ »