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PIOの新ブログ

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2015年8月18日 (火)

『ロシア・ピアニズムの贈り物』

原田英代 『ロシア・ピアニズムの贈り物』 みすず書房 2014

これも調律師さんからご紹介いただいて、図書館で借りました。
チャイコンのネット視聴で、ロシア勢の演奏のすごみに感服していたので、
ちょうどいいタイミング。

前半部で、なるほど~と思ってしまったのは、

ロシアはヨーロッパではない!
ヨーロッパ音楽を移入して、それを理解しようと努力したのだ
というところ。
考えてみれば当たり前なのですが、極東から見ると、そのあたりがぼけますね。

かのエカテリーナ2世が、
それまで低い地位に貶められていた音楽家に光を当て、
18世紀、音楽文化の発展に大きく奉仕したロシア人演奏者の多くは、
貴族や地主お抱えの「農奴」だった、という歴史、初めて知りました。

19世紀ロシアでは、明治時代のお抱え外国人教師よろしく、
ドイツから、イギリスから、ピアノ教師を招へいして学び、
その弟子が技術を、音楽を、伝えていく、
ロシアに脈々と息づいていた「歌う」という伝統がそれを支え、
チャイコフスキー、ラフマニノフらの作曲家の台頭が国民意識を刺激し、
音楽に対する国民の自負心を高めていく。。。

そして、ヨーロッパの中心からは離れたロシアに、
ピアノ演奏の技術が確かに伝わり、
多くの流れに枝分かれしつつ、着実に継承されていくというところ、
中央から離れた地方に古語が残っていく、
という現象にも似ているのかな~と思いました。


後半の筆者の活動ぶりのところ、
ロシアのピアニズム、重力奏法のハウツー解説部については、
私はちょっとお手上げ状態。。。
「股関節に重心」
「臍を背中に寄せて中心点を作る」
「皮膚に安堵感」

わかる人には、わかるのでしょうが。。。。catface

印象に残ったのは、「朗読と音楽のコラボレーション」の一つとして
具体的に紹介されていた、アルマ・ロゼの生涯。

アルマ・ロゼ(1906-1944)は、
ウィーン・フィルハーモニーのコンサートマスターを父に、
作曲家マーラーの妹を母に、ウィーンに生まれたヴァイオリニストで、
第二次大戦中にユダヤ人として捉えられ、
アウシュビッツの収容所で女性オーケストラを指揮して命をつないだが
生還はならなかった、という女性。
この、朗読音楽劇(?)の紹介は読ませました。

なかなか深い内容の本でした。

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

面白そう!私も読んでみたいです。
この2年、チャイコフスキーとメンデルスゾーンの曲と格闘しています。
そこで思うのですが、メンデルスゾーンと昭和のおばさんの私との乖離。
ロシアの作曲家も方が、まだ私に近いです。
ショパンも、メンデルスゾーンより近い。ハンガリーですからね。
つまり、ロシアやハンガリーの東欧の作曲家の曲だと、多少演歌がありなのです。
バッハ、モーツアルト、メンデルスゾーン、もう、絶対うなったらダメ。
いかに軽やかに、リズムを刻むかがキモ。
「ロシアはヨーロッパではない」、まさに!!!
そのおかげで、昭和のおばさんでも、チャイコフスキーは下手なりに仕上がります。

ananさん

昭和のおばさんには、西欧より東欧、ロシアのほうが近い。
確かに!

そうそう、この本の筆者の恩師、メルジャーノフの語録の中に、
チャイコフスキー「四季」についてがありましたよ。
書き記しておきますね。ananさんの演奏のヒントになるでしょうか。

3月:ひばりを見たことがあるかね。いくら囀る声が響くからと言ったって、小さな鳥なんだよ。
4月:待雪草は春の大使だ。
5月:この季節には突然冷たい風が吹くんだよ。
6月:中間部では、遠くから娘たちの合唱の声が聞こえてくるのだ。
7月:ロシアでは大きな鎌で草刈りをするから、そんなにせせこましいテンポではできないんだよ。
8月:今年も収穫があってありがとう、と神に感謝の祈りをささげるのが中間部だ。
9月:チャイコフスキーは優しい人だった。だから獲物になる動物への同情心も忘れなかったんだ。中間部は哀れな動物に対する愛情だ。
10月:もしもチャイコフスキーがこの作品だけを作曲したとしても、記念碑が建てられて然るべき名作だ。ロシアの魂そのものだ。
12月:クリスマスに女の子たちは市場に靴を置いて、どの青年が自分の靴を拾ってくれるか、胸をわくわくさせて見ているんだよ。それが中間部だ。

PIO様、ありがとうございます。
6月、"中間部では、...etc." 、全くその通りでございます。
今後このお言葉を胸に、弾くようにいたしましょう。
この曲、NHKの名曲シリーズで取り上げられ、
海ではなく、川を行く舟の舟遊び、と教えられました。
私、来年は、11月のトロイカを弾く予定。
それはどう弾いたらいいのでしょう?
メルジャーノフ様のコメントがないのですね。
残念!

本屋で手にしては、棚に置くを繰り返していましたが
たぶんいつか買うでしょう。

私もコンクールでのロシア人を見ていてびっくりしたのですが
漫然と弾いていたピアノ、もっと上手くなりたい、
こういう風に、この曲を、いつか弾いてみたい、と思うようになりました。
とてもよい体験が出来た夏でした。

幼い頃に読んでいた、マルシャークの「12月」という本を思い出してます。
待雪草を採りに森を行くお話。
待雪草が、スノードロップだったなんて、昨日知りました。
今読むと、また違う風景が浮かんできそうです。

フランスの曲を練習したがる私でしたが、ロシアの曲が弾きたい今日この頃。
素敵なご紹介をありがとうございました。

ananさま

舟歌にトロイカ!王道ですね。
実は私、かつて「四季」を全曲弾きました。
トロイカは、「思いっきり泥臭く弾いてよし!」と当時の先生に言われた覚えがあります。
たぶん、ananさんの真骨頂が発揮できるのでは?
楽しみです。^^

まいこさま

本屋さんですでにこの本に気づかれていたんですね。さすが!
この夏のチャイコンについては、私もまいこさんと全く同じ心境です。
なんだか「おお、同志よ!」と言いたい気分です。
これもご縁ですね~。
どうぞ今後ともよろしくお願いします。

マルシャークの「12月」という本、初めて知りました。
私もぜひ今度手に取ってみたいと思います。
こちらこそ、素敵なご紹介をありがとうございました。

週末、ルガンスキー氏のコンサートの帰りに買って読みました。
全くの自己流、自分の楽しみだけで弾いてる私なんぞには
頭と体の感覚が全く一致しないのでほとんどがハテナでしたが

作曲家についてのお話や歴史的なお話、そしてなによりも
最後の文章で思わず涙。
ここ最近ずっと何故だろう?と思っていたことがスカッと書いてありました。

立ち読みだけで終わらずによかったです。

まいこさん

おおお!ルガンスキー氏の演奏、いかがでしたか?
ロシアピアにズムの生演奏を堪能されたあとの読書とくれば、
また格別だったでしょうね~。

最後の文章、覚えてません。
チェックしなくちゃ!coldsweats02

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