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2015年7月25日 (土)

『インドクリスタル』

篠田節子 『インドクリスタル』 角川書店 2014

81pihkdyul久々に読みました。篠田節子。
改めて、深いなあ…と思いました。

最先端技術の開発のため、純度の高い水晶を必要とする主人公、
人工水晶の製造開発会社、山峡ドルジェ社長・藤岡は、
先々代の社長が残した記録から、インドの水晶原産地にたどりつきます。
そして、丁々発止、体を張った駆け引き、取引、
ダイ・ハードも真っ青の展開に。

インド奥地の部族(裸族)に残る因習、宗教的行事、
それに囚われる女性たち、出自に規定される人々の運命…。
そして、
前近代的な社会の人々に手を差し伸べようというNGO組織が
翻弄される社会の仕組み、自らが抱え込んでしまう矛盾。
「袖の下」を渡した政治家の変心、権力抗争。
約束、契約、といった概念が通用しない部族社会。

「村人に石をくすねられることが問題なのではない。
どこかの中国人が、海千山千のインド商人から偽の小切手を使って水晶玉の材料を搾取することが問題なのでもない。
山峡ドルジェと競合する人工水晶、あるいは水晶デバイスのメーカーが、あの鉱山に気づくことが問題なのだ。別の業者に取り引きを持ちかけられたとき、村人は平然と売り渡すだろう」

そんな状況の中、
鉱山の村に現金が入るとともに、村がさまざまな集団から狙われるようになり、
藤岡の命も危険にさらされます。

小説の中でキーとなるのは、小説冒頭、視察の段階で、
地元の有力者の招待を受けて宿泊した施設で出会った、とある少女。
オーナーからの虐待が疑われた彼女を、施設から引き取った藤岡。
特殊な状況下で育った少女には「邪悪」ともいえる行動も見られ、
彼女とかかわる人々は皆、彼女の扱いに苦慮するのですが、
恩人ともいえる藤岡に対しては、彼女の類稀なる高い能力を発揮して、
絶体絶命のピンチから再三にわたって救い出すのです。

その後の彼女の人生は…どうぞお読みくださいませ。

地球上には、はかりしれない世界があるのですね。
学歴、教養、所属団体・企業…そんなスケールでは測れない、どろどろしく熱く蠢くものたちの世界が。
……読後感、さまざまな思いが交錯します。



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