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2015年5月24日 (日)

『ピアノを弾く哲学者』

20150523_214108384_ios フランソワ・ヌーデルマン(訳・橘 明美)
『ピアノを弾く哲学者~
サルトル、ニーチェ、バルト~
太田出版 2014 

この本、同窓会誌に紹介されていて興味を持ち、手にとりました。
著者は、フランスを代表するサルトル研究者(1958年-)で、
著者自身も長くピアノを弾いているとのこと。

哲学には、とんと疎い私。
かつてのCMソング
「ソ、ソ、ソクラテスか、プラトンか。ニ、ニ、ニーチェか、サルトルか♪」
で、ニーチェとサルトルの名前はよく知っているものの、
バルトって、誰?……といった程度。

サルトル(1905-1980)ニーチェ(1844-1900)が日常的にピアノを弾いていたこと、
ニーチェに至っては、プロ並みの腕前で作曲もこなし、
自作の曲をハンス・フォン・ビューローに送って酷評を浴びたり、
ワーグナーと師弟関係にあった後に訣別したりし、
哲学者よりも音楽家として身を立てたいと思っていたこと、等々
全く知りませんでした。
ロラン・バルト(1915-1980)は、記号論を用いて日本を論じた『表徴の帝国』の著者。
バルトもすぐれたピアノ演奏をしたそうですが、彼は音楽記号学には興味がなく
「自分の身体が音によってどう変化するかを記述することによって、音楽のもう一つの真実に近づこうとする」
「記号学者や音楽学者が無視し、あるいはなおざりにしてきた身体的な側面について、控えめながらも力強く語る」
とあって、
記号論を操る学者が、コードや言説から解放してくれるという理由で音楽を愛し、
ピアノを弾くことによって「言葉を介さない情熱」に身をゆだねたといいます。

前衛的な芸術を鋭く論じたサルトルが愛し、弾きつづけたのはショパン。
ニーチェが精神的にも肉体的にも体調を崩した後、
彼に執筆の霊感を与え続け、執筆不能となった後も続けたのはピアノ。

本書は、哲学者の著作だけあってなかなか難しく、
きちんと消化しきれませんでしたが、私には次の点が印象に残りました。
  • 3人は、自分の専門とは離れた方法、領域でピアノに接し、それによって自己を解放し、楽しんでいた。
  • アマチュアのピアノ弾きは、テクニックが追いつかなくてもピアノ演奏を楽しむ者だと考えられる。サルトルは自分の技量に合わせてショパンのリズムやテンポを崩して楽しみ、ニーチェは「演奏と即興と作曲が入り混じった」演奏を楽しんだ。
私は正統派アマチュアだ!と、妙な自信を得てしまいました。
専門知識はありませんし(和声進行とか…coldsweats02)、
楽譜どおりにしか弾けませんけれど(即興とか、100%無理!)、
実際に鍵盤で弾いてみないことには曲がまったくつかめません。
公開の場での演奏を目標としてもいません。
それでも、よりよい演奏を目指す気持ちは持ちつつ、楽しんで弾き続けたいと思います。

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