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2015年2月 2日 (月)

『女帝エカテリーナ』

アンリ・トロワイヤ『女王エカテリーナ 上・下』中央公論新社
           2002改版(1985初版) 工藤庸子訳

図書館でなんとなく目に留まり、借りてみました。
池田理代子のマンガ『女帝・エカテリーナ』の原作だそうです。
(このマンガは、私、読んでいないのですけれど)

エカテリーナ、そもそもは
ドイツの小国の出身だったとは知りませんでした。
聡明な少女が14歳でロシア皇帝の花嫁候補としてロシア入りし、
改名し、改宗し、ロシア人になりきろうと刻苦勉励し、
愚鈍で幼稚な夫に見切りをつけて、彼を追放。自らが帝位に。

教養を身につけ、有能な人材を身近に集め、
政治的な手腕をふるっていく女帝。
そのそばには、常に若い愛人が。
とっかえひっかえ、臆面もなく周囲にのろけていたとか。

なんというか、スケールが大きすぎて……。
今の世では、こういった人はもう出て来ないでしょう。

でも、今にもつながるような表現もそこここに。
彼女の時代に併合したクリミアは、ロシアにとって
「夢のように豊かな南国」。
ここをめぐって、トルコとの間に高まる緊張感。

併合後の1787年、
大臣、外交官等とクリミア旅行へ立った女帝一行。
長い道程を経て、いよいよクリミアに入ったとき、
彼女はロシアの軍隊を警護につけることをやめてしまったといいます。

この一徹な回教国で、キリスト教徒が回教徒の官吏にとってかわり、回教寺院の尖塔のあいだにロシア正教の金の丸屋根がいくつものび上り、街にはヴェールをかけぬ女たちが闊歩して頑固に旧習を守る人々の顰蹙を買っている。だが女帝は「みずからの意志」で麾下に入ったこれらの部族が、必ずや忠誠を守るものと期待して、危険を顧みぬことにしたのである。東洋では誓約は神聖なものであることを、彼女は知っている。彼女はバフチサライに入るときには、その地の人間を警護につかせるつもりだと告げる。事実、正装したタタールの勇士千二百人が武具に身を固めて突然姿を現し、大使たちは一瞬肝を冷やす。女性を蔑視し、キリスト教徒を憎悪するこれらの男たちが、甘んじてひとりのキリスト教徒の女に支配されようというのだろうか?

西洋から見るとき、
クリミアの回教徒、タタール人は「東洋」と呼称されるのか
と、改めて気づきました。
また、支配に立つ側の文化を押しつけないという姿勢に
エカテリーナの懐の深さを感じました。

きな臭さを感じる今の世において、
東洋人たる私達には、アメリカやヨーロッパとは異なる立場で
火薬庫たる地域を見つめることができるのでは…
そんなことも思いました。

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

まあ、エカテリーナのご本、 お読みになったのね。

私は旧版、「女帝エカテリーナ」とされて
中央公論社から出版されていた時に読みました。
このシリーズが好きで、他に、ナポレオンの妻、
「恋するジョゼフィーヌ」、オーストリア皇妃、
「麗しの皇妃エリザベト」、フランス王国に
嫁いだメディチ家の「カトリーヌ・ド・メディシス」
の3冊を持っています。

数多くの引っ越しで、何故か「エカテリーナ」と
「狂王ルートヴィヒ」が紛失。
読み返したかったので、残念に思っていました。
早速新版を購入いたしましょう。

ちなみにこのシリーズは訳者によって出来不出来があり、
「エカテリーナ」は、中でも出色の出来です。

本は一度無くすと二度と手に入らぬことが多いので、
このニュースは本当に嬉しいです。
ありがとうございました。

ananさま

おお!またananさんとの趣味のシンクロを感じます~。
ご紹介いただいた本も、是非読んでみたいと思います。
こちらこそ、ご紹介ありがとうございました。^^

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