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2014年9月 9日 (火)

『アンサンブルの喜び』

岩崎淑 『アンサンブルの喜び』 春秋社 1999年

チェリストの岩崎洸さんの姉上、ピアニストの淑さんの著。
実は、
同じ著者の近著『ピアニストの毎日の基礎練習帳』(春秋社2011)
のほうを初めに読んだのですが、その内容の中で、
アンサンブルについて書かれた箇所のほうに興味を惹かれ、
(ピアノ練習法については、ワタシには無理~と早々に諦めモード)
こちらの本を手に取った次第。

目次に見える
「伴奏者に対する差別的な扱い」
「伴奏に徹しないピアニストが多すぎる」
という内容が、まず著者の主張したいことの一つでしょう。
「特に若い人」として、ソリストになれないから伴奏の道を選ぶ
そういう考えの人が多い限り、伴奏者の地位は上がらない
と述べています。

幸いにして、この本が出版された1999年当時と比べると、
今は、こういう考えは一般的ではなくなったのでは。
若手の優秀なピアニストは、よく室内楽も演奏していますし、
多くのピアノの国際コンクールにも室内楽が取り入れられています。

興味深かったのは、協演したソリストたちの個性を描く章。
著名なイツァーク・パールマンの伴奏でミスをした著者が
「すみません。間違えてしまってごめんなさい」
と言ったら、
「それはあなたの問題で、私はちゃんと完璧に弾いた」
と応じたというエピソードは強烈です。
それ以後、著者は、ミスしたときに謝るということはしないと決め、
特に演奏会の最中は、ミスしても何事もなかったかのような顔をしているそうです。
「謝っても何の解決にもならないし、言葉のやりとりでお互い不愉快になるだけですから。自分のミスは自分の問題として飲み込んで、自分で反省すればいい。」
確かに。

また、ピアニストについて
「日本人特有の音質というのは確かにあります」
「日本でのトレーニングというのは、とにかく指を上げて弾くというものでした。そうしないと指が強くならないと教えられてきましたから」
「日本人のピアニストに最も不足しているのは…色彩感です」
とも述べています。
これもよく聞かれる言質です。
そして著者は、日本では
「音楽をやること」が「世間の営みから離れた特殊な、特別なこと」
と扱われていて、
一般人は音楽を敬遠し、音楽家は狭い世界に閉じこもる傾向がある
と述べ、欧米と比較して、これを憂えています。
確かにそういう側面もあるのかもしれませんが、
オバサンアマチュアの私から見ると、
音楽のアマチュア愛好家がいろいろなサークルに所属して活動できる日本だって、捨てたものじゃないと思います。

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