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2014年8月29日 (金)

『悪魔パズル』『巡礼者パズル』

パトリック・クェンティン著

『悪魔パズル(Puzzle for Fiends)』論創社2010 (水野恵訳)
『巡礼者パズル(Puzzle for Pilgrims)』
論創社2012 (水野恵訳)』

ダルース&アイリス夫妻の推理もの、第5作と第6作です。
(→第1作・第2作 →第3作・第4作

『悪魔パズル』は、サスペンス映画そのまま。
愛妻・アイリスが、
仕事(ハリウッド女優として、東京の進駐軍兵士を訪問!)のため出発する飛行場で、二人がしばしの別れをかわすシーンからスタート。

ところが、次の章から、がらりと場面転換。

なぜか、「私」は見知らぬ部屋のベッドに寝ており、足にはギブス、
そばには見知らぬ女。
「私」は自分が何者かまったく記憶になく、
周囲の人々は「あなたは、ゴーディ」、富豪の放蕩息子、と告げます。
超絶美人の妻、魅力的な妹……はい、例のごとく、美女続々登場。
さて、彼らのうち、
「私」(実はダルースであることが明明白白)を陥れようとしている
主犯は誰?
目的は何?
……今回は、ダルースが一人で推理し、
クライマックスの場面では、アクション俳優そのままに大車輪の活躍。
わくわく楽しく読みました。

『巡礼者パズル』は、雰囲気が一転。
なにせ冒頭文が
「闘牛場でサリー・ヘイヴンと出くわしたのは、彼女が殺害される前日のことだった。」
そして、「アイリスが私のもとを去った衝撃は、いまだに薄れていなかった。」と続くのです。

実は、従軍で精神を病んだダルースは、妻アイリスと
の別居を決意。
復調後、意気揚々とメキシコのアイリスのもとを訪ねると、
なんと彼女は、若い美男小説家と熱愛に陥っていたのでした。

殺されたサリーは、アイリスの恋人・マーティンの妻で女優。
そして、ダルースはマーティンの妹に惹かれ…
ううむ、複雑怪奇な人間関係。
そしてダルースは、サリーの死体第一発見者となってしまいます。
さて、サリーの死の真相やいかに!

今回のダルース、
推理を二転三転させたのち、真相を見事に暴くのですが、
人々の将来を思い、その真相は伏せたままにします。
なんだか、渋い名探偵の役柄。
複雑な心理描写も多々ある本作、文学的な趣も持っていました。

*****************************

原作は1936年~1947年に刊行されたこの6作、
『巡礼者パズル』の日本語翻訳版の刊行は、この2012年版が初版。
中には、1950年代に翻訳が雑誌に載り、だいぶ経って単行本に
というものもあるそうです。
こういう翻訳のされ方もあるんですね。
出版社があれこれ異なるのも、いろんな経緯あってのことでしょうか。

シリーズものではあっても、解決までの道はお定まりではなく、
主人公の決め台詞などがあるわけでもなく、
作風がどんどん変わっていくのが面白かったです。
ダルース&アイリス夫婦が身近に感じられ、どんどん読みやすくなっていったのは、シリーズものの醍醐味ですね。

「パズル」が題名につくシリーズはこれで終わりですが、
ダルース&アイリスものは、あと2作あり、
最終作の『女郎蜘蛛』は今年2014年5月の刊行。(図書館予約待ち)
残る1作は未訳とのこと。……今後に期待しましょう。

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