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2014年6月14日 (土)

『長女たち』

篠田節子 『長女たち』 新潮社 2014

3篇の作品からなる、中編集といえる作。
3篇とも、もちろん主人公は「長女」。
それも、しっかりした家庭に育ち、
自らの意志で人生を選び取ってきた、誇りある女性です。

「家守娘」
スタイリッシュな母と「なかよし母娘」で生きてきた直美。
通訳業で活躍する彼女の母に痴呆が始まって。
母のせいで仕事も、新たに始まりそうだった恋までも失い…
と思っていたら、実は…。
悲惨な現実を描くだけではなく、母の妄想の正体の謎を追う
推理小説の趣もあります。

「ミッション」
母の死を契機に、医学部を受験し直して医者になった頼子。
その過程で父との間に亀裂が生じ、父の死がトラウマに。
尊敬する医者の遺志を継ごうと、異国の僻地に赴任するが…。
父娘関係そのものというより、
「僻地の文化」と「西洋医学」の軋轢、
真の幸福とは、といった問題を深く突いてきます。

「ファーストレディ」
医者一家の外交官のような役割を担ってきた慧子。
縁の下の力持ち的な地味な役割だった母が、姑の死を契機に
糖尿病を急激に悪化させて…。
父と母の関係、娘、息子に対する母の思い、娘の使命感、
思惑の絡み合いの恐怖を感じます。

それぞれ読み応えのある小説ですが、
本の装丁そのままに、すべて暗く重い色調の中で話が進みます。
『女たちのジハード』にあったような、明るいユーモアもほしいなあ
と思うのは、欲張りにすぎるでしょうか。

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