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2014年4月13日 (日)

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
文藝春秋2013

言わずと知れた、村上春樹の話題作。
出版から1年を経て、職場の図書館で手に取りました。

ハルキワールド、ああ、こういうものでしたね…と思いだしましたよ。
現実世界と夢の世界が交錯し、
エロティックな経験がストーリーのキーとなり、
都会的な男女が、ある意味高邁な言葉を連ねて会話する

長々しくて覚えられなかったタイトルの意味は、
名前に色を示す漢字を持つ友人たちと、つくるとの対比でした。
―特別な調和を持つ5人組は、青、赤、白、黒、そしてつくる―
―大学の友は灰色、その友の語る話の中の人物は緑―

調和する5人組からある日唐突に追放されたつくるが、
後年、あるきっかけで、
追放された理由を探るために巡礼する
(聖地を巡るのではなく、当事者の話を聴きに行く…名古屋へ、そしてフィンランドへ…のですが、その心理は「巡礼」そのものだと思います)

そういうストーリーです。

「巡礼の年」というのは、
リスト作曲のピアノ曲集の名前です。
5人組の1人、シロがよく弾いていたのが、この曲集中の曲。
また、大学時代の友人灰田がつくるのもとに残していったのが、
この曲集の三枚組LP。

作中、灰田が語る、
リストのピアノ曲へのコメントを抜き書きしておきます。(p.63参照)

リストのピアノ曲は一般的に技巧的な、表層的なものだと考えられています。もちろん中にはそういうトリッキーな作品もあるけど、全体を注意深く聴けば、その内側には独特の深みがこめられていることがわかります。しかしそれらは多くの場合、装飾の奥に巧妙に隠されている。とくにこの『巡礼の年』という曲集はそうです。現存のピアニストでリストを正しく美しく人はそれほど多くいません。僕の個人的な意見では、比較的新しいところではこのベルマン、古いところではクラウディオ・アラウくらいかな

ほうほう、なるほどね~。
ジャズだけではなく、クラシックにも造詣が深い村上春樹の面目躍如といったところでしょうか。

ストーリーへに対する感想は、といいますと…

登場人物、特殊な出来事などの意味、つながりが、
ただ暗示されるだけで、読者に委ねられる部分が多いと感じます。
それゆえ、ハルキストではない凡庸な読者としては居心地の悪さも。
とはいえ、
ストーリーの先が知りたいと思わせる吸引力はありましたし、
作品全体の構造もしっかりしていて、
村上作品としては読みやすい部類に入るのではないでしょうか。

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コメント

まぁ!そういうお話だったのですね。
村上春樹とは相性悪く、いくら世間でもてはやされても、
読む気はしませんでした。

でもリストの「巡礼の年」には興味あります。

ananさん

今、記事を読み直したら、「巡礼」の説明が足りなかったな、
という気がして、ちょっと加筆しちゃいました。^^;

私も村上春樹は得意ではありません。
1980年代(私も若かった時代)には、結構楽しんで読めたのですが、
今世紀に入ってからは、ちょっとついていけない感じ。。。

リストの「巡礼の年」については、
You Tubeにブレンデルの解説付き演奏がアップされています。
とっても参考になると思いますよ~。

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