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2013年7月28日 (日)

『忘れられたワルツ』

絲山秋子 『忘れられたワルツ』 新潮社 2013

え?リストのワルツと関係する小説?…と、手に取りました。

実は、7篇の短編からなる作品で、

表題作は、7篇中6篇目、
冒頭場面で主人公が聞く、姉の弾くピアノ曲をタイトルとした作です。
その姉は、ピアノを弾き終えると、探偵もどきの台詞を吐いて外出。
知識人として八面六臂の活躍をする母は、不在。
消防士の父は、趣味とする外国語の学習に没頭中。
そして、主人公・風花は、猛烈な痒みの発作に襲われ、
家中のいたるところに、姉の目を感じる…
淡々と日常を語る小説ながら、なんとも不気味な印象を残します。

それも、1作目、2作目、……と読み進めるほどに、
不気味さ、恐ろしさが募っていく感じ。
日常のなかのちょっとした違和感を、そうっとつまみあげ、
それをふくらませて小説を紡いでいくような。
一昨年の大震災後に発表された小説を集めたものとのことで、
小説中に震災を明記しない作も多いのですが、
そこここに、その影…漠然とした不安感、孤独感、無力感…がほのめいています。
ベタでないだけに、妙に強い印象を残す作品でした。
私自身が内容を消化して、
きちんと語るには、もう少し時間がかかりそうです。

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