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2013年6月11日 (火)

『野いばら』

梶村啓二『野いばら』日本経済新聞出版社2011

2011年の第3回日経小説大賞受賞作。

ビジネスマンの縣和彦が、2009年に出張先のイギリスで
ひょんなことから入手することになった1冊の手帳。
そこに書かれていたのは、
1862年、香港から江戸へ転任した英国人エヴェンズの手記。

そのエヴァンズと、
彼に日本語を教えることになった、美しい女性ユキとの交流が、
小説のメインの柱です。

なんともノスタルジックな、節度ある雰囲気の中で育まれる
二人の交流。
印象に残るフレーズが、そこここに。

いろはうたを学んで、

「あらかじめ死と無常を美として織り込んだ詩を、初めて文字を習う子供たちが共有するような文明をわたしは他に知らない。」

武士が内職に植木栽培をするという話を聞き、

「あの謹厳で誇り高い武士たちが、広大な屋敷の裏庭に鉢を大量に並べて家計の足しに園芸栽培をする姿は想像しにくかったが、
その風景のなかに日本の社会の幸福の秘密があるような気がした。
花の前では武士貴族も植木屋も人間として同じ地面に立っていた。」

なんだか、日本人の誇りをくすぐられるではありませんか。
そんな
甘美な、しかし史実に裏打ちされた時代背景と、
二人の密やかな恋愛模様が、純文学風に展開していきます。

好き嫌いがでる作品かな、と思いますが、
私にはヒットいたしました。^^

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コメント

「野いばら」、読んでみたいです。
最も“積ん読く”10冊強、まずはそちらから。
目が悪くなり、読書量ものすごく落ちました。

ananさん

目が悪くなったら、私、どうするのかしら…
ほとんど活字中毒状態なので、怖いです。
禁断症状が出て、手が震えるとか、よだれを垂らすとか、しちゃいそう…。

ananさんは、どうぞご無理なさらずにね。
そうそう、発表会で納得のいく演奏をされたとのこと、本当に良かったですね。
私もぜひあやかりたいと思います。^^

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