無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« 女3人、気ままにショッピング | トップページ | 『なんらかの事情』 »

2013年2月10日 (日)

『草原の椅子』

宮本輝『草原の椅子(上巻・下巻)』新潮文庫2008

1997年12月から毎日新聞に連載され、
1999年に毎日新聞社から刊行された小説とのことですが、
初めて読みました。

久しぶりに、本物の文学としての小説を読んだ!
という充実感でいっぱいです。

主人公は、少し前に20年以上連れ添った妻と離婚し、
大学4年生の娘と大阪に二人で暮らす、
カメラメーカーの営業局次長、遠間憲太郎。50歳。
そして、
中卒の叩き上げで大阪にカメラ量販店を興し、
関西有数の会社に育て上げた男、冨樫重蔵。50歳。

この二人の友情を軸に物語は始まり、
やがて、
憲太郎の娘・弥生が知り合った、
暗い過去を持つ5歳の男の子、圭輔が加わって、
物語は大きく動き出します。

男の子(圭輔)の育ての父親、産みの母親、
骨董品の店を経営する女性、篠原貴志子40歳、
交通事故で車椅子生活となった、憲太郎の若い部下、堂本
高速道路で無謀な振る舞いを示す若い女性、袴田知作
といった人々との交流を描きつつ、
日本という国のありようを嘆くような筆致も多々。

でも、
身体障害を得ても、新たな仕事に生きがいを覚え、
古い家に住み続ける重蔵の父、そして母、老犬ボス、
また、時折泊まりがけで圭輔を預かってくれる大家族の高梨、
憲太郎の近所で、往診もしてくれる老医師など、
淡々と、しかし真摯に生きる市井の人々の姿に、
日本、捨てたもんじゃないぞ、というメッセージも感じます。

「草原の椅子」というタイトルは、
まるで大草原に置かれた椅子のように見える……
偶然、重蔵がそんなアングルで撮影した写真から。
それが、タクラマカン砂漠、高地の桃源郷フンザへの旅へと
つながっていきます。

まだまだ、いろいろな伏線はあるのですが、
それは読んでのお楽しみ。
ストーリー、筋だけで読ませるのではなく、
いろいろなところに深い意味が潜んでいる……
うわあ、深いなぁと思わせつつ、読んで楽しい作品です。

映画化され、もうすぐ公開されるとのことですが、
ううむ。人物のイメージ、ちょっと違うかも。。。
憲太郎に佐藤浩市は濃すぎるし、
重蔵に西村雅彦は線が細すぎるかな…ま、個人的な印象です。

« 女3人、気ままにショッピング | トップページ | 『なんらかの事情』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

草原の椅子、先週買いましたよ。(PIOさんの話題はいつも私にとってタイムリーです。笑)

何を隠そう、宮本輝は私がいちばん好きな作家なんです。最近はすっかりごぶさたしていましたが、久々の映画化で話題になっているようなので、この機会にまた読もうと思って手に入れました。

内容は読んでからのお楽しみにしておきたいので、実は記事の本文はまだ拝見してません(笑) 読み終わってからまたお邪魔します。

ネリノさん

あらら、どこかでシンクロしているのでしょうか。
私たち?

私も宮本輝の作品が好きだったこと、久々に思い出して手にとったのでした。
ではでは、後ほどネリノさんのご感想をうかがうのを楽しみにお待ちしていますね~。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 女3人、気ままにショッピング | トップページ | 『なんらかの事情』 »