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2013年2月16日 (土)

『幸田姉妹』

萩谷由喜子
『幸田姉妹 洋楽黎明期を支えた幸田延と安藤幸』
ショパン2003

先日読んだ中村紘子氏の著作(→)で知った幸田姉妹、
つまり
幸田延(のぶ 1870-1946)
安藤幸(こう 1878-1963)
とは、幸田露伴の妹。
この兄弟姉妹6人(8人中2人が夭折)、すごいです。

「上から順に、実業家、探検家、小説家、音楽家、歴史学者、音楽家として、それぞれの分野で、近代日本の礎を気付く人々となったことがわかる。(p39)」

とあるとおり。
幕藩体制の瓦解をまのあたりにした両親が、
その由緒ある家柄
(江戸城に控えて、大名の世話をしたり、有職故実や礼法を教える「表坊主」という役柄の家柄)
のプライドを保つには教育だ…と考え、徹底した家庭教育
(幼児期の習字は3年間「いろは」だけ、とか…)のうえに
官費で受けられる教育機関の徹底活用を試みた結果だというのですから、おそれいります……

延は、長唄、三味線、箏曲を習い、東京女子師範学校附属小学校に通う中で、お雇い外国人教師に見出され、ピアノの個人レッスンを受けるようになります。
そして東京音楽学校(のちの芸大)に入ってピアノ、ヴァイオリン、声楽を学び、
15歳で研究科に在籍する助手となって、教える立場に。
19歳で第1回文部省音楽留学生としてアメリカへ。1年後にはウィーンへ。
帰国後は、東京音楽学校の教授に。

その妹、幸は21歳でベルリンに留学後、やはり東京音楽学校教授に。
27歳で英文学者の安藤勝一郎と結婚し、関西で活躍する夫と遠距離結婚を長く続けつつ、5人の子どもを生み、育てます。

人間関係に目を向ければ、
8歳の年の開きがある延と幸は、姉妹であるとともに
指導者と弟子というような関係でもあったそうですが、
滝廉太郎にとっても、延は師。幸はともにテニスも楽しんだ仲間。
延は島崎藤村にもピアノを教え、藤村の作品中にも延らしき人物が登場するのだとか。
世界のなかで見ると、
幸がベルリンで師事したヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)とは、
ブラームスをシューマン夫妻に引き合わせたことで有名な
19世紀のヴァイオリン界の巨匠。
その最晩年、直接指導を受けた最後の弟子というのですから驚きです。
また、幸が国際コンクールの審査員としてウィーンに赴いた際には、
ルーマニア出身の名ヴァイオリニスト、ジョルジュ・エネスコ(1881-1955)が、「ウィーン留学中の延のことを覚えている」と声をかけてきたといいます。

長くなるので、これ以上の紹介は控えますが、
(女性差別、マスコミや世間の好奇の目にまつわる話もたくさん…)
「ほおぉっ!」という内容、てんこ盛りの本でした。(@_@;)

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コメント

萩谷由喜子さんは、女性の音楽家に非常にお詳しく、間断なく私のツボを刺激してくださる感じです(笑)。

いぞるで様

ほお、そうなんですか。
私、浅学にして、萩谷由喜子さんのご著書、初めて手にしました~。

いぞるでさんのコメントを見て、
ただいま、図書館で検索をかけ、数冊予約を入れたところです。
楽しみです。

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