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2012年11月 1日 (木)

『私は東ドイツに生まれた』

フランク・リースナー『私は東ドイツに生まれた』東洋書店2012

東ドイツを故郷とする、1965年生まれの筆者。
東西ドイツ統一前に来日され、
以来、ずっと日本の大学で教育職に就かれているとのこと。
彼の記憶が鮮明なことに驚いた周囲の人々の企画で、
この出版が実現したのだそうです。
ドイツ語圏で出版されたものを翻訳した、というものではなく、
企画から日本側が立てたという点、なかなか珍しいのでは?

印象に残ったのは、以下のような点。

・人手不足の解消のため、女性の労働力に期待せざるを得ず、
結果、経済力をつけた女性の意識は、西側よりも高くなった。

なんだか、東側諸国の国民というと
「虐げられ、ガマンしている弱い人々」
というイメージがあったのですが、これは一面的だったのですね。

外国人労働者を安く確保した西欧諸国に対して、
東ドイツは、社会主義という体制による制約があったうえ、
ポーランド等から人々を連れてくることはタブーであった(ナチスの記憶)ため、女性が働きやすい環境を作ることに政府が力を注いだ。
(以上、記憶に基づくテキトーな要約)

という説明にも納得です。
「人手不足解消」
が国家の一大課題だったというのにも、時代の流れを感じますね。

・車を入手するには長い時間がかかり、修理の依頼も難しいので、
人々はたいていの修理は自分でするようになった。
国産車「トラビ」は、車体の表面がボール紙のような素材で
「走る棺桶」と呼ばれたが、
人々はこれを慈しみ、20年以上乗り続けるのが普通だった。

厳しい生活状況の中で、人々はたくましくなるのですね。
また、周囲の人々みんなが同じような困難な状況にあれば、
あまり不幸だとは思わず、かえって楽しんでしまえるのかも…。

**********

ほかにも、医療制度、いわゆる秘密警察(?)の姿、
若者が所属した組織、などなど……
生活者の視点から説明されています。
淡々と、経験や例とともに。

熟読したら、さらにいろいろな発見がありそうです。

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