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2012年9月 8日 (土)

『紙の月』

角田光代 『紙の月』 角川春樹事務所 2012

1億円を横領した銀行員、梅澤梨香。
中高一貫のミッション校→短大→クレジットカード会社就職→結婚、専業主婦
という道を歩んだ梨香が、なぜ銀行勤めを始め、どうして犯罪に手を染め、のめりこんだのか。

犯罪に走ってしまった経緯を、梨香自身の視点から語る、その合間に、
彼女を知る3人が、指名手配中の梨香との思い出に心を馳せる…
4者の視点が交錯し、時間も過去と現在を行きつ戻りつしながら、物語は進んでいきます。 

・中高時代、梨香に憧れの目を向けていた同級生、木綿子
・学生時代の一時期、梨香とつきあっていた、和貴
・専業主婦時代の梨香と料理教室で知り合い、親しくつきあった亜紀

たいへんに怖い小説でした。
梨香の独白が、いかにも現実にありそうで。
下手をしたら、私自身と無縁のこととは言い切れないようで。
ほんの小さな違和感、心に刺さった小さな棘が、日々積み重なっていくと……

犯罪に手を染め、感覚がマヒしていく過程、犯罪の露見に怯える過程は、
読む身にとってもつらくて、読み飛ばしてしまったことも。

また、梨香だけでなく、
木綿子、和貴、亜紀も、それぞれ大変に危うい現実を抱えていることが明らかになっていく、
その過程もまた、怖いものでした。

「世には、こんな落とし穴が口を開いているんだよ。あなただって、落ちるかもよ。」
という世界を描くこと、ほんとうに上手です。角田光代。

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