無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« ネット上の My room | トップページ | 一人でリゾート気分 »

2012年7月30日 (月)

『あの日、パナマホテルで』

ジェイミー・フォード(前田一平 訳)『あの日、パナマホテルで』 集英社文庫 2011

原題はHotel on the Corner of Bitter and Sweet
(『ビター通りとスウィート通りの角にあるホテル』)

舞台は、第二次世界大戦中の米国、シアトル。
中国人の両親の意向で、白人学校に「奨学金する」学生として通う12歳の少年ヘンリー。
そして、日系アメリカ人として教育を受け、同じように通学するケイコ。
二人は、食堂でミセス・ビーティの手伝いをするランチタイムの給仕係として出会い、
校内で同級生からの迫害を避けながら、協力しあい、一緒に昼食を食べ、下校するうちに
互いに好意を抱くようになります。

しかし、世が世。
厳格なる中国人であるヘンリーの父は、日本人とのつきあいを頑として認めません。
そのうち、日本人街の日本人は全員、収容所送りとなり、二人は離ればなれに。

そんな「青春初恋物語」なのですが、
細部が非常によく書き込まれていて、心を打ちます。

物語はミステリアスな進行です。
1986年、最愛の妻・エセルを癌で亡くしたヘンリーの立場から、話は書き起こされます。
妻の死、息子との対立、といった辛い状況が明らかになり、
そのうち、
「パナマホテルの地下から、埃をかぶった日本人の所有物が大量に発見された」
というニュースが。
この1986年と、1942年~45年という、2つの時代が交互に書き込まれ、
読み進めるうちに、徐々にストーリーが明らかになっていくのです。

ヘンリー、ケイコの二人を支え、味方になってくれる、サックスプレイヤーの黒人シェルドン、
無愛想でありながら、さりげなく二人を見守るミセス・ビーティー、
広い視野を持つケイコの父、オカベ氏など、二人を取り巻く人々もいいです。

シェルドンが奏でるジャズ音楽が物語のキーとなる、という筋も。

家族って、
愛情って、
絆って、

いろいろ考えさせられます。
アメリカではベストセラーになった作とか。
うなずけます。おすすめです。

« ネット上の My room | トップページ | 一人でリゾート気分 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ネット上の My room | トップページ | 一人でリゾート気分 »