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2012年6月 4日 (月)

『わたしのいない高校』

青木淳悟 『わたしのいない高校』 講談社 2011

今年の三島由紀夫賞(その年の気鋭の作家に贈られる)受賞作、ということで
早速図書館で借りてみました。
すんなりと手元に。(本屋大賞受賞作とは大違い)

高校2年生の担任、専門教科は古文という男性教員が、
彼のクラスに、カナダ・ケベック州からの交換留学生を迎えて……
というのが話の中心
とくれば、どうにも人ごととは思えない設定…


しかし、私小説の伝統に逆らい、極力感情を排して叙述した作品、とのことで、
なんだか、キツネにつままれたような感覚で、話が進んでいきます。

なにしろ、この男性教員が、
「担任」「菊組担任」といった呼称で叙述されていて、

 菊組担任からは今回留学生を預かることになって慣れないところもあるが生徒に助けられる毎日である、といった内容の話があった。(中略)クラスに留学生がいるのを「ご理解いただく」目的があった。
 職員室では滞っていた書類仕事に取りかかった。いずれも修学旅行関係のもので、……

といった具合。
お役所の報告書を読んでいるような……と思ったら、日記を読んでいるような……
いや、やっぱり、報告書のような……。なんだか落ち着かない感じです。
ただ、確かに「淡々と事実を突き付けられている」という感覚は、あります。

また、「すわ、何かの事件の発端??」「あっ!異文化接触の始まり??」
と思えるような出来事が語られても、その後の進展、大展開にはつながりません。
ただ淡々と日々は過ぎていく、といった感じです。
肩すかしのような、それが現実の日常だ、という悟りがあるような。

終わり方も同様。なぜここで終わるのか???という疑問を残しつつ、
ま、こういうものかもね、という気もするような。

なるほど。
「気鋭の作家」に贈られる「三島由紀夫賞」って、こういう作品が対象になるものなのか!
と、変なところで納得してしまいました。

なんだか、最近こんなことばかり書いている気がしますけれども、
平成の世って、こういう醒めた、「熱く語る」ことのない作品が受けるのでしょうかね。

(実は先日、大学の後輩を相手に、思いっきり「熱く語って」きた私……過去の遺物かもcoldsweats02

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