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2012年6月12日 (火)

『バイエルの謎』

安田寛 『バイエルの謎 日本文化になったピアノ教則本』 音楽之友社 2012

言わずと知れたバイエル。
その人物像が、まったくの謎だったなんて、驚きです。

「どうしてドイツの事典にバイエルが載っていないのだ」と質問したところ、
「ドイツではあれくらいの作曲家をいちいち取り上げていたら、事典のページがいくらあっても足りません」とドイツ人らしい自慢をされた

といった具合で、調査すれどもすれども、何も出てこず、
バイエルは架空の人かもしれない、いや、おそらくそうだろう、という結論に達しかけた、
というのですから。

本書は、

「バイエルとはどんな人物だったのか?」
「なぜ日本でこんなに普及したのか?」
「教則本として、どう評価できるのか?」

といった謎を解き明かしていく内容です。
調査の時系列に沿って、
「この謎についてこう予想し、こう調査したら、こう行き詰まり、こんな意外なことになった」
と進められていくので、大変読みやすく、ミステリー小説を読んでいるかのようです。

なかでも、「おお、そうだったか!」と目が開かされる気分になったのは、
クララ・シューマンの日記にある次の一節が、バイエルの教則本の性格を表している、
という指摘。

(クララの父による本格的なレッスンが開始される前、)
「既に私は静かな手による練習を少し学んでおり、自分で聞き覚えた簡単な踊りの伴奏を演奏したりしていた」

この「静かな手」とは、「ポジション移動・指の交差のない運指」を指し、
バイエルの前半部は、まさにこの練習用に書かれているものだ、というのです。
そして、それは、この本が書かれた時代(1850年頃)には、画期的なことだったのだ、と。

………

さてさて、根気よく追い続けた結果、
著者はついに、バイエルの実像にたどりつき、
バイエル教則本の意味するところも解き明かしてしまうのですが、
それはいくらなんでも「ネタばれ」ということになりますので、
細部をはしょって、強引にまとめてみると……

J.S.バッハを彷彿とさせる、教会オルガ二ストの系譜に位置づけられる人の手により、
プロテスタント文化の家庭音楽教育の流れを汲んで、バイエル教則本は生まれた……

おもしろかったです♪


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