無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« 成長ぶり | トップページ | バナナブレッド »

2012年4月13日 (金)

『猫鳴り』

沼田まほかる 『猫鳴り』 双葉文庫 2010

この作品の「猫鳴り」とは、猫のいわゆる「ごろごろ喉を鳴らす」様子。
猫をめぐる、ほのぼの系の話??と思ったら、とんでもありませんでした。

構成が凝っています。

第一部は、捨て猫の泣き声にいらつく、流産したばかりの信枝の視点から。
降り続く雨、追って来る鳴き声、妻に遠慮する夫…
猫をどうするか逡巡しながら、それまでを振り返る信枝。

第二部は、不登校になっている、父子家庭の少年、行雄の視点。
誰かを傷つけたいという衝動に駆られる彼に、大きく立派に成長した猫「モン」がちょっとした関わりを。

第三部は、「モン」が老猫となり、死を迎えるまで。
信枝の夫・藤治と猫との静かで深い交流が、
そして、葛藤しつつ、死を受け入れていく、藤治の姿が描かれます。

第一部では、子猫のモンの、素直でひたむきな姿が、
第二部では、成猫のモンの、堂々とした姿が、
第三部では、老猫のモンの、自然に任せ、主人を想う姿が、
苦しむ人間を救っているかのようです。

読んだあとで、じわじわくる小説でした。
ユリゴコロ」もそうでしたが、
全体的に色調は暗く、人間の「心の闇」とでもいうものが迫ってきます。

文庫カバーの作者紹介を見て、びっくり。
「主婦、僧侶、会社経営を経て」小説家デビューって、すごすぎます……でも、なんか納得。

« 成長ぶり | トップページ | バナナブレッド »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 成長ぶり | トップページ | バナナブレッド »