無料ブログはココログ

PIOの新ブログ

« ミュージアム・コンサート《江口玲》 | トップページ | 近所の桜 »

2012年4月 7日 (土)

『ワーカーズ・ダイジェスト』

津村 記久子 『ワーカーズ・ダイジェスト』 集英社 2011年

amazonでいろいろ検索しているうちに、おすすめ商品として現れた本を
図書館で借りてみたのですが、
なんと、すでに以前に借りて読んでいたものでした(既に呆けかけている私)。
たぶん、1年前の新刊本のときに借りたのではないかと…

今の世の中の若いサラリーマン、サラリーウーマン(?)の姿が、淡々と描かれます。
仕事で顔を合わせた、30代同い年、誕生日も姓も同じ二人、奈加子と重信。
別々の会社に勤める二人の日常……疲労感に満ちた日常……が、
カギカッコ「」を伴わない独白を交えつつ描かれます。

三人称と独白が入り乱れつつ語られる、その語り口が絶妙です。
改行、スペース、「*」で切り替わる、奈加子、重信、二人それぞれの日常。
大プロジェクトや大抜擢といった華々しい事件が起こるわけではなく、
担当業務上のトラブルや、社内の人間関係のトラブルに胸を痛めながら、
それでも、投げやりにならず、黙々と仕事に励む二人。

それぞれの職場の会話、いかにもありそう…。
小道具となる食べ物(カレーライス、スパカツ)、音楽も、いい味出しています。

最後の場面。
二人が自然な偶然……という形で再会し、ほのぼのとした雰囲気で幕を閉じます。
娯楽小説によくある
「この伏線がここでこう効いて、こういう意外な結末になるのか!お見事!」
といったような流れは見えず、あくまで淡々。
こういったところが芥川賞作家っぽい、ということなのでしょうか…


津村 記久子の作品、ほかに
『ミュージック・ブレス・ユー』という高校生を主人公とした小説も読みましたが、
これまた、
うじうじ、ぐだぐだ、と過ごす音楽かぶれの少女の日常を淡々と描くもので、
いわゆる「音楽に捧げた、血沸き肉踊る青春小説!」とはまったく異なるものでした。

こういう趣こそ、平成の世にマッチしているのかもしれません。。。

« ミュージアム・コンサート《江口玲》 | トップページ | 近所の桜 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ミュージアム・コンサート《江口玲》 | トップページ | 近所の桜 »