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2012年4月 5日 (木)

『相田家のグッドバイ』

森博嗣 『相田家のグッドバイ』 幻冬舎 2012

図書館に届いた新刊本から借りてみました。
森博嗣の文章、教材(読解文)テキスト探しの折にずいぶん読みましたが、
作品を楽しむというスタンスで、ちゃんと読んだのはこれが初めてかもしれません。

明らかに筆者の体験をもとにした作品だと読み手にもわかるのですが、
あくまでも「小説」としてのスタイルを貫いています。
いわゆる「私小説」のような、ねっとりした感覚はありません。

「この物語は、彼が両親を失う過程を綴ったものである。」
「彼の名前は相田紀彦。父は秋雄、母は紗江子という。区別をするために、姓ではなく名前で記すこととする。」

といった具合です。あくまでクール。

それでいて、
相田家だけの特殊な事情などではない!と、共感を覚える内容がいっぱい。
結婚して配偶者の家族との比較ができるようになってはじめて、
配偶者の感覚と、自分の感覚のずれ、
自分の育った家庭環境の特殊性に気づく、といったところとか。

両親が年をとり、弱っていくにつれて、紀彦の心情が、親との関わり方がどう変わっていったか、
死を目前にした母と紀彦は、どのような交流をもったか、
一人になった父の変化を、紀彦がどう受けとめ、どう消化していったのか、
そして、両親の死後、紀彦はどう変化し、妻とともにどんな生活を選んだのか…

なんだか、いちいち、「近い将来、私の身にも起こること」として受け止められ、
怖いような、助かるような、複雑な気持ちで読み終えました。

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