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2012年3月23日 (金)

『ユリゴコロ』

沼田まほかる 『ユリゴコロ』 双葉社 2011年

不思議な題名だな、という第一印象。
「私には、ユリゴコロがない」と思い込んだ子どもが、この作品の核になります。
おそらく「ユリゴコロ」とは、「よりどころ」の聞き違いなのですが。
このネーミングはうまい、と思います。

「人を殺すと心が落ち着く」
という手記?小説?のノートを発見したことが、この小説の出発点です。

この書き手はだれ?
発見者との関係は何?
現在とどう結びついている?

というミステリーであって、このあたりは、ぐいぐい引っ張る力を持っています。
非常に強いい印象を残す小説ではあります。
しかし、

「そんな事実だとしたら、描かずに放っておいてはいけない側面があるのでは?」
「そんな行動をさせておいて、あとは書かずに放り投げていいのか?」

という疑問テンコ盛り…というのが、読後感でありました。

********

考えてみると、村上春樹の小説でも、
人が理不尽に亡くなったり、失踪したり、殺されたり、という場面が多々出てきますが、
そんなこと、現実ではあり得ない、許されない、ということであっても

「そんな描き方じゃ、片手落ちだろう!」

という疑問は生まれてきません。。。
なんだか、村上ワールドに納得させられてしまうというか、
この設定だったら、そうなることもあるよね、当然だよね、という感覚になります。

このあたりが筆力の差なんでしょうか?

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