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2012年3月 6日 (火)

『中国化する日本』

与那覇潤 『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』 文藝春秋2011

衝撃的なタイトルですが、これは「衆目を集める」ための方策では?
内容はまっとうです。

日中関係といえば、遣唐使か、はたまた日中戦争か、というのはあまりに視野が狭い。
もっとグローバルな目で関係を捉えなおそうよ。
実は中国の歴史を語る肝は「宋」の時代なのだよ。ここから世界史を見直してみようよ。
……というのが、本書のメッセージかと。

「宋」の時代というと、……科挙が確立した時代。

・貴族制度を全廃して、皇帝独裁政治を始めた

という時代。
科挙の合格者は、皇帝への恩義を感じ、その後地方赴任を重ねるので、官僚が地元に地盤を築いて皇帝に刃向かう心配なし。
(地元で権力を強める貴族と大違い)→現代日本の利益誘導議員は貴族?

税を物納から貨幣納にしたので、農民に貨幣使用が行き渡り、庶民が商売に目覚めてお金の味を知る。
      

で、このシステムが現在に至るまで中国の基本システムとして機能している。
つまり、

「機会は平等にした」わけだから、「あとは自由競争あるのみ」で、勝ち組と負け組が生まれる。これ当然。怠けものが悪い。

これって、今言われている「グローバル化」そのものでは?
ということ。

*********************************

こういう理論で、筆者は「中国化」を考える。
そして、

平氏=貿易を広め、宋の制度を取り入れて新しいことをやろうとした先進的集団
源氏=従来型の荘園制度を維持しようとした旧保守派勢力

と定義するとか、
(平氏は貴族で源氏は武士、という定義は愚の骨頂)

「どうして中国や朝鮮は近代化に失敗したのに、日本だけが成功したのか」という問い自体が誤りで、
「近代化」「明治維新」は要するに「中国化」の別名にすぎず、
日本人は「西洋化」のために社会のしくみを一変させなくてはいけない時期と、歴史の必然である「中国化」のタイミングを合わせることができた
というだけのことだ。

と解説するとか、しているのです。
この論理で、モンゴル帝国の発展と衰退を論じるなど、いろいろ興味深いことをしています。

まとめてみると

・中国:
経済活動は自由化して個々が勝手に動き、政治面だけ拘束されるのが自然な姿だ、という考え方が沁み込んでいる社会

・日本:
お上から多少活動は制限されても、一部の人間のやりたい放題は制限し、隣近所が助け合って生きていくのが理想、と考える社会
(あ、ちょっとずれた要約かも…)

となるわけです。
ものすごーく”はしょった”紹介ですので、興味をもたれた方はぜひ実際にお読みください。

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コメント

この源氏と平氏の捉え方は、今の大河ドラマの平氏観に共通するものがありますね。
中国の実情は、さまざまな小説で見聞するものとニュースで垣間見るものと、自分が実際に訪れ”旅行者”の目で見、肌で感じた先進都市の印象とそこで働いている地方出身者の話などをもってしても、”捉えきれない”得体の知れなさ、底知れなさがありますね。

華音さん

なるほど。
今のドラマも、最近の歴史研究の流れを汲んでいる、ということでしょうね。

中国の得体の知れなさ、これについても同感です。
歴史学的に、時代の流れ全体を俯瞰するというスタンスで語る中国と、
実際に中国と言う国で生活し、揉まれて知る中国と、……同じになるとは、とても思えません。

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