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2012年2月19日 (日)

『ラブレス』

桜木紫乃 『ラブレス』 新潮社2011

今年の直木賞候補作になった本です。

従妹同士の若い女性(小夜子、理恵)が、
理恵の母(小夜子の叔母)と連絡がとれないことをめぐって、
ため息を交えつつ、電話でやりとりし、
……という場面から始まるので、

「ああ、若い女性の "love" をめぐる小説?」

と最初は思ったのですが、まーったく違いました。
理恵の母、百合江の一生(その母、その娘までも含めた三代記)を描く、
大河ドラマ調の小説です。けっして長い小説ではないのですが。

北海道の開拓民の子として生まれた百合江が、
両親、妹(小夜子の母・里実)、弟たちとの関係に悩みつつも、
自らの意思で人生を選び取り、ドラマチックな人生を胸を張って生きていく、
その姿を描きます。
百合江の立場からの描写をメインとしつつ、
ある時は、妹の里実、
ある時は、娘世代の小夜子や理恵の立場にも、筆は及びます。

重層的な作りで、なかなか興味深かったです。
「のめりこんで読む」というより、「おお、そう来たか」という意外感も楽しめるような。

出生をめぐるミステリー的な側面もあり、
疑問が徐々に解きほぐされていくのも楽しめました。

全体的に、ちょっと散漫な感じもしましたけれど。(だから、のめりこめないのかも)

百合江、里実姉妹の考え方の差、軋轢、
この二人の世代と、その娘世代が母親に対してとる態度の差など、
「身うちゆえの葛藤」を容赦なく描いている点なども、
今の時代を映しているなあ、と思いました。

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