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2012年1月31日 (火)

『コラプティオ』

真山仁 『コラプティオ』 文藝春秋 2011

直木賞候補作になった、ということで読んでみました。
著者は、TVドラマにもなった『ハゲタカ』の筆者。
書名は、ラテン語で「汚職・腐敗」の意味だとか。

3.11大震災の3年後、
政治の世界に颯爽と登場したカリスマ首相・宮藤隼人を取り巻く人々、
政府ブレイン、閣僚、新聞記者、外交にあたる人々、などなどの、
丁々発止の交渉ぶり、活躍あるいは暗躍ぶりを描きます。

低迷する日本経済を活性化するためのカンフル剤として、
首相・宮藤の取り上げたのが、なんと、日本の原子力発電技術。

このプランを日本国民に納得させ、「希望」を抱かせてしまう道筋、
実際に海外諸国へ売り込むために必要となってくる政治手法、
政権の危機を乗り切らせる、ブレインたちの綱渡りの行動力、
カリスマ政治家が陥っていく、危険な方向性、

……展開のスピード感、緊迫感に、途中からはまってしまいました。
エンディングは、ちょっと中途半端な気もしましたが……

中心人物は、中学時代の元同級生でもある若者二人
――内閣調査官・白石望、そして、新聞記者・神林裕太。――
切れ者の二人が、理想と現実のギャップに苦しみつつ、それぞれの判断で現実と折り合いをつけつつ成長していく物語、として読むこともできます。

挿入される様々な政治的エピソードに、
「ああ、似たような事件があったな」「そんなこともあったな」と思わされ、
今の世界が抱える矛盾にも、改めて目を向けさせられます。

この時期に、よくぞまあ、このような小説を……と思いました。
連載されたものを、3.11後に大幅に改稿して出版されたものだとか。
筆者の熱意を感じました。

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