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2012年1月 4日 (水)

『グレン・グールド-未来のピアニスト-』

青柳いづみこ『グレン・グールド-未来のピアニスト-』筑摩書房(2011)

ピアニストの生きた時代・世間が、ピアニスト像を創り出していく という経緯、
ピアニスト自身のオリジナリティの追求 vs クラシック音楽の正統性 という葛藤、
といったものについて、「なるほど」と思える本でした。

グレン・グールドというピアニストについては、
「ステージ演奏を拒否して録音にこだわった、奇抜な演奏をする伝説的ピアニスト」
といったようなことを、いろいろ伝え聞いて(読んで)知っていただけで、
これといって思い入れを持っていたわけでもないのですけれども。

印象に残った点を、うろ覚えの自己流要約で羅列してみます。
(誤読、誤認などもあると思います。)

■バッハに傾倒し、レガートを避ける演奏が特徴的だったと言われるけれども、
ステージ演奏をしていた若い時代には、正統派そのもの、どちらかというと古いスタイルともいえる、見事に歌い上げていく演奏をしていた。

■練習をしなくても弾ける天才、と言われていたが、
若い頃、演奏技術を急速に上達させている一時期があり、この頃、技術練習に励んでいたことが明らかである。

■ラフマニノフなどのピアニストの時代には、演奏者が装飾音やオクターブ音を恣意的に付け加えて演奏することが当然のように行われていたが、グールドの時代から「楽譜の正統性」が主張され、演奏者の「オリジナリティ」が制限されるようになった。

■ショパンなどのロマン派の楽曲録音がないのは、彼がそれを嫌ったというより
自身の演奏の「オリジナリティ」にこだわり、正統派の演奏になってしまう楽曲を避けたということではないか。

■低い椅子に座り、腕・全身の重みを鍵盤にかけることはしない奏法のため、
指の動きは自由に操れるものの、大ホールに響き渡らせる音量を出すには無理があった。これが、ステージ演奏を避けるようになった要因ではないか。

などなど。
音楽マネジメント事務所や録音技術者たちの影響力なども、初めて知りました。

ちょっと見には硬くてとっつきにくく見える本ですが、意外に読みやすく、
個人的には、著者専門のドビュッシー関連の本などより、さくさく読めました。

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