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2012年1月 4日 (水)

『日本を捨てた男たち-フィリピンに生きる「困窮邦人」-』

水谷竹秀 『日本を捨てた男たち-フィリピンに生きる「困窮邦人」-』
集英社(2011)

開高健ノンフィクション賞受賞作品、ということで読んでみました。

フィリピンというと、
ストリートチルドレン、スモーキーマウンテン(ごみの山)
といった言葉が思い浮かびますが、

シンガポールで出会った、出稼ぎのフィリピン人メイドさんたち、
愚息のPTAで出会った、フィリピン国籍のお母さんたち、
日々接している留学生たちとは、直接結びつくことはなく、
どうも曖昧模糊としている……というのが、フィリピンに対する私のイメージでした。

この本を読んで納得したのは、
「困っている人に分け与えるのは当然」と考え、ともに助け合い、
いつも笑いあっているという国民性です。

本書は、
そんな温かさにひかれて、母国で困窮した日本人男性がフィリピンに逃げこみ
(多くの場合、日本でフィリピンパブに入れ込んだ末のこととか)、
現地で無一文となって、貧しいフィリピン人からの慈悲のような助けを得つつ、
ホームレスに近い、あるいはホームレスそのものの生活を送っている…
という現実をレポートするものです。

そこまで落ちぶれてしまうには、
やはり自己責任、本人の人間性の問題が絡むのですが、
まさにそれゆえ、
(移民の引き上げ等を念頭に、困窮邦人の帰国援助法などはあるものの)、
彼らを、大使館など日本政府機関が税金を使って救うことは行いにくく、
結果的に、フィリピンの人々の好意にすがってしまっている……という現実。

こんな現実、まったく知りませんでした。
グローバル化には、こんな側面もあるのだなあ…と。

格差社会、二極分化の進む中で、
落ちぶれていく姿も、決して他人事ではないようにも感じたり。

最後の砦は、やはり人間性、人格です。

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