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2011年12月 3日 (土)

『絶望の国の幸福な若者たち』

古市憲寿 『絶望の国の幸福な若者たち』 講談社 2011年9月

26歳の若手社会学者の手になる本です。
近年、社会学というと、このような若手の著作が話題になるような。。。

この著者、ニューヨーク・タイムズの東京支局長に
「日本の若者はこんな不幸な状況に置かれているのに、なぜ立ち上がらないのか」
と聞かれて、
「なぜなら、日本の若者は幸せだからです」
と答えたといいます。

その根拠は、「国民生活に関する世論調査」による結果で、
2010年の時点で20代の70.5%が現在の生活に「満足している」と答えていること。
この満足度は他の世代よりも高く(30代で65.2%、40代で58.3%、50代で55.3%)、
過去の20代と比べても高い(1960年代後半に60%前後、1970年代に50%程度)とのこと。

なるほど。
で、「幸せだから」の含意を明らかにしていくわけですが、
その詳細は省くとして、次の喩え(大変乱暴な要約ですが)には戦慄を覚えました。

・中国の農民工(都市に居住できない「農民戸籍」のため、社会保障なしで都市で出稼ぎをしている労働者たち)は生活満足度が高い。
・「蟻族」(中国版高学歴ワーキングプア)は当然のことながら、不満の塊である。

・近代社会は、国民の平等を謳いながらも、常に「二級市民」を必要としてきた。
あるいは「女性」、あるいは「移民」という形で。

↓ つまり、

・移民を受け入れない国、日本では、若者が「二級市民」化していくだろう。
一部の「一級市民」を除く「二級市民」は、のほほんとその日暮らしを送りながら、中国の農民工のように幸福感を感じて生きていくだろう。

……ううううう。我が息子の今の姿、まさに「二級市民」の卵なり。……

筆者は、これからの世の中では「日本」という国家にこだわる必然性なし、と断言もしていて、その根拠に
日本では「もし戦争が起こったら、国のために戦う」という割合が極端に低い(15歳から29歳だと、7.7%)を上げています。
これは筆者によると、いい徴候なのであって、「けしからん」と考えるのは、古い世代、頭が固い証拠だ、というわけです。
……一理あります、確かに。

新奇性といえば、この本、その文体にもちょっとビックリ。
各ページに脚注が付く形なのですが、それが

「そんな国家に闘いを挑んでも仕方ないというのだ。シラケ世代ってやつ?」(p.22)
「思えばこの頃から正高信男の「学者らしさ」の崩壊が始まった。」(p.62)

これ、まるでツィッターではないでしょうか??

本書を読んでの一番の感想というと、
私、ほんとに「旧世代」の人間だなあ……と感じたことだったかもしれません。はあ。

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