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2011年8月 5日 (金)

『困ってるひと』

大野更紗『困ってるひと』ポプラ社

新聞の書評欄で知り、読みました。
ポップな装丁、イラスト、題名からもわかるように、
軽快な語り口、スピード感で読ませてしまう、イマドキ感あふれる本ですが、
中身は濃く、メッセージ力、大、です。

ミャンマー(ビルマ)の地域研究をする大学院生として、八面六臂の活動家のような生活をしていた筆者が、突然、「日本ではほとんど前例のない、稀な難病」にかかります。
その悲惨な病状をなんとかすべく、
病院&医師探しから入院、病院内での検査、危篤に陥った経緯やその後の経過、
一時退院の苦労、そして退院に向けた奔走(自身では動くこともままならないとはいえ、まさに!)が、まさに臨場感あふれる筆致でつづられるのです。

下手をすると「お涙頂戴」「悲劇のヒロイン」と化してしまう内容ですが、
そこは、さすがの活動家。
自身を、難民研究科の研究対象たる「難民」だと認知し、
難病に、さらには各種の届け出作業を強いる国家体制の「モンスター」に挑んでいく姿が、軽快なリズムで報告されます。
筆者の言葉を借りれば
■エクストリームに「困った」とき人間はどう墜落していって、どう逆噴射するのか、どう生き延びるのかという、生存レシピ保存版(p.143)

辺鄙な田舎にある実家を「ムーミン谷」、両親を「ムーミンパパ」「ムーミンママ」と呼び、
「ふるさとでは」「父が」「母が」と書くことで生まれるウエット感をぬぐい去るなど、
ユーモアを持ちつつ、客観的視点を確保していることにも、舌を巻きました。

日本政府よ!
ぜひ彼女を、厚生政策立案のブレインとしていただきたい!
国立大卒エリートが、もはや国家公務員を選択しなくなるだろうという時代、
「国家のこれから」を立案する頭脳は、どこから調達するのだろう…
と危惧していた私ですが、たとえば、この筆者のような「頭脳」を活用できさえすれば…
と思います。

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