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2010年9月 2日 (木)

『小さいおうち』

中島京子 『小さいおうち』

本年度、直木賞受賞作です。

「あれ?こういうタイトルの絵本があったよな、たしか…」

と思ったのですが、まさに、その絵本との関わりが、物語末尾で明らかにされます。
「そうだったのか!」と読者に膝をたたかせつつ。
BGMは穏やかな室内管弦楽といった趣で。
(大音量のワーグナーで盛り上げるのでは、決してなく)

昭和初期。
東北の田舎から、中産階級家庭の女中として働くべく上京してきた、年若いタキ。
彼女が、一生忘れられないという、若々しい「奥様」一家との日々を
回想録として書いていきます。

折々にはさまる、彼女の甥の感想が、「アングルの差」を感じさせます。

歴史書では、きな臭い、怒涛の時代と描かれる時代も、
小市民、一女中の目から描くと、こうなるのか……なるほど。いかにも。

一家庭を「切り盛りしていく」ために必要なことの一つは、
御用聞きに来る八百屋、米屋の信頼を、日ごろから得ておくこと……なるほど。

といった具合で、淡々と語られるストーリー、エピソードが楽しめます。
この、押しつけがましくない、飄々とした語り口、
それでいながら、末尾で読者に「あっ!」と思わせるところ、
そして、古きよき中上流家庭を舞台とするところ、

……北村薫の直木賞受賞作『鷺と雪』と、似たところがあるかも……
と思いました。

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