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2010年1月15日 (金)

有川浩『フリーター、家を買う。』

久々に一気読みしました。
タイトルから、「おちゃらけた娯楽小説」を予測して読み始めたのですが、
冒頭は、びっくりの重さ、暗さです。

入社直後のスパルタ熱血社員研修に「ドン引き」後、さっさと退職してからは、
なじる父親を避け、小遣い稼ぎのアルバイト以外は部屋にこもり、
母をアゴで使って……

すさんだ生活の描写が続きます。
そんななか、母親が鬱の高じた病になってしまい……ああ、まっくら。

そこからの展開がすごいです。

嫁いで家を出ていた「頭の切れる正義漢」の姉が登場。
母がそうなったいきさつを、理路整然と解き明かし、
ぼや~っとしていた主人公をノックアウト。

で、これを機に奮起した主人公が、最終的に「家を買う」のですが、
そこに至る経緯が圧巻。

娘(上記の「姉」)コテンパンにこきおろされる父親
フリーターから、人生を自分の力で変えていく主人公
要所.要所で見事な役割を演じる姉
そして、病気にならざるをえない状況にあった母親

彼らの人間描写が見事です。
最初は「こんなの人間じゃない!許せない!」と思わせる父親が
実はごくごく一般的な人間なんだなあ、彼なりに苦しんでいたんだなあ
と読者に推し量らせてしまう、そこここの「仕掛け」

主人公が周囲に認められていき、父親との溝も埋まっていく
その経緯の必然性、、、などなど

今話題の暗い「フリーター」「鬱」を取り上げながら、話の展開は明るく前向き。
諦めてない武さん(主人公)は間に合ってます。」
という、ラストに近いシーンでのせりふが心に残ります。

そうさ。人生万事塞翁が馬。遅すぎることは絶対ない!……私の読後感です。

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