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2009年10月29日 (木)

篠田節子『薄暮』

読書の秋、という季節になりました。

自宅最寄の公立図書館、蔵書整理期間ということでしばらく休館だったのですが
昨日から無事開館。
ほいほいと足を運んで借り出して、ほぼ1日で読みきってしまったのが標題の本です。

篠田節子『薄暮』

日経新聞の夕刊に連載されていたのですね。知りませんでした。

雪に埋もれる田舎の地に根を下ろし、地元の風景や人物を描いた画家。
その画家をめぐって、
中央画壇に出ようとしない彼の才能を信じて支えつづけた、美貌の妻と
画家の死後、彼の絵を世に出そうとする東京の出版社の男との駆け引きを軸に
物語は進みます。

話の展開はミステリーじみていて、
妻が「贋作」として認めようとしない作品群の謎、
絵を買い取ろうとする怪しげな人物の動き、などが織り込まれるのですが、

もうひとつの流れとして、世の流れ、世間のどろどろしさが炙り出されます。

画集が無事出版され、画家が評判をとるという、地元の願いどおりの展開が、
彼を支え続けたはずの地元の人たちの間に亀裂を生んでしまったり、
純粋な読者の声だと信じていた反応が、実は組織的に仕組まれたものであったり、
怪しげな人物が、実は古くから地元に関わっていた常識人であったり……

そして、プライドの高い凛とした女性が、妄想や記憶障害にとらわれ、老いていく姿、
自分を見せずに「役割を生きる」ことに徹する女性の姿も、くっきりと描き出され…

いろいろな読み方のできる、奥の深い小説だと思いました。

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