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2008年4月 4日 (金)

『千住家の教育白書』

080404senju_book言わずとしれた芸術家・千住三兄弟(妹)のお母様が
書かれた本です。
「教育白書」とありますが、決してハウツー本ではなく、
千住家の子育て、子どもたち奮闘の軌跡、家族の体験を
鮮やかに描ききったドキュメンタリー、といった趣。

日本画家、作曲家、バイオリニスト。
子ども達全員を、日本を代表する芸術家に育て上げる
って、そこには、どういう秘訣が?
答えは、
「子ども達を信じる」「押し付けない」、見守り、励ます
ということのようです。

幼稚舎から慶応で教育を受け、学者の父、医者の家系の母を持つ三人。
男の子二人が、本人の意志で芸術の道を選んだとき、
「夢を見るな」「安全策を考えろ」「それだけでは食べていけない」
などとは決して言わず、
「本気なら、退路を断って臨め」「我々は信じる」
と見守ることができるか。
博氏も、明氏も、高校を出てからまさに退路を断ち、数年浪人をして、
苦労を重ねたのちに芸大に入ったとは、知りませんでした。
また、その当時に祖父の自宅介護(壮絶です)も担っていたとは。

でも、母は、そうして死と直面した経験が、厳しいナマの体験が、
彼らの芸術を深くしていったにちがいない、と言います。
そういう視点で、ものごとを捉えられる母親です。

真理子さんの小学生時代でのコンクール優勝。
(私と同世代の彼女。私もリアルタイムで見聞きしていました)
その影には、母と二人三脚での実にアカデミックな練習が。
楽譜を色分けし、ばらばらにしてカード化し、
そのカードを用いてテクニック練習をしてから曲作りに入る!
レッスンの際には母も同じ楽譜を持参し、自宅練習に備える

著者は、「私達は決して特別だったのではない」と強調されますが、
私は、やはり両親の聡明さに圧倒されました。

また、皮肉な言い方かもしれませんが、
一流の頭脳、一流の家柄、の家庭に生まれたからこそ、
そして、この両親のもとで育ったからこそ
すばらしい指導者にも恵まれ、才能を開花できた三人なのだな、
とも思いました。

テレビに出演している著名な先生にすぐ会うことができ、
その場で弟子入りを許され、バイオリンも貸与される
…「私達は決して裕福だったわけではない」
というトーンで語られるエピソードですが、
このシチュエーション自体、凡人家庭には考えられません…

父親がアメリカに招聘された際の、何千キロにも及ぶ大陸ドライブが、
幼かった子ども達に、その後の芸術に大きなインパクトを与えた、
というエピソードも然り。

「教育ママ」が否定的に語られる昨今ですが、
自分の価値観を押し付ける教育ではなく、
子どもが求めている教育を見極めて、そのために粉骨砕身する
という意味での、本当の教育ママの姿が、ここにあります。

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