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PIOの新ブログ

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2006年1月29日 (日)

ショパン晩年の日々

book 平野啓一郎『葬送』…文庫にして、上巻2巻、下巻2巻、あわせて4巻の長大な小説。年末から1ヶ月かかって読み終えました。

平野啓一郎を読むのも初めて。どうも「長大・難解」で、哲学書っぽいイメージを持っていたのですが、それほど難解でもなかったです。たしかに、芸術論(ロマン派、写実派、○○派)やら哲学論(死とは何ぞや)等が出てきますが、筆者が地の文で述べるのでなく、ドラクロワやショパンといった芸術家たちの会話の中、ドラクロワの心理描写の中で出てくるので、読みやすいです。(ドストエフスキーの翻訳本などより、ずっととっつきやすかった!)

私にとっての収穫は、ショパンが生きた時代を「視覚映像的」に感じることが出来た、という点です。冒頭のショパン葬儀の場面をはじめ、パリの通りを馬車が駆けてゆく、荒れた路地をドラクロワがさまよう、といった映像が生々しく浮かびます。描写力の高い小説です。
また、サンド夫人と暮らしたノアンとパリ、またマジョルカ島とパリとの距離感、当時のイギリスとフランスとでの芸術観の差、などなど、いろいろな背景知識が得られます。フランスの2月革命、10月革命と、それが芸術家に与えた影響も。このためショパンがイギリス、スコットランドに渡っていたなんて、知りませんでした。
ショパンとサンド夫人の仲がおかしくなってからショパンの死までを描いていますが、ショパンは「対象」と捉えていて、ドラクロワに感情移入しているように思えます。音楽家と画家、双方の生活を見る意味でも面白いです。

昨年、ショパンコンクールにはまったことから思い立って読んでみましたが、久々に骨のある文学を読むことが出来て、よかったです。

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コメント

母校の友人(Oさんやアタシと同じく、国文の友人ですが・・・)には、音楽に造詣の深い友が多く、モーツァルトを語るに小林秀雄、バーンスタインを深く語る友なんかざらで、田舎の進学校でピアノがそこそこ弾けることで一目置かれていたアタシにとっては天上人でした。
PIOさんのこの日記を拝読してもそれを痛感。。。。
アタシももっと、研鑽しなければ・・・・(^_^;)

でも、このPIOさんのご紹介くださった本、すごく魅力的!
図書館に予約してみようかな。。。
その前に、今借りてる本を片付けなきゃだ!!

>華音さん
いやあ、偉そうなことを書いてますか?私。。。
ここで恥を忍んで告白しちゃいますが、
実は私、曲名と曲を一致させられないんです。
「パッヘルベルのカノン」と「G線上のアリア」を混同したりとか。
うちでも家人に
「この曲、なんていう曲だっけ?」
などと聴かれるたびにモゴモゴ、モゴモゴ。
「バロック音楽だよね」
「えっと、ラフマニノフだったと思うけど…」
そして究極の答は
「ははは。よく聞くよね。このフレーズ。」
結果、
「なんだ、知らないのか。」
とバカにされること、これ日常。

ところが、曲名を聞くなり条件反射的にハミングを始める友、
冒頭1小節だけで「あ、○○ね」なんて言っちゃう友、
いるんですよね、これが。
友を見て「研鑽しなくちゃ」と思うのは、私のほうです、はい。

>華音さん
いやあ、偉そうなことを書いてますか?私。。。


このコメントどこにあったっけなぁ?とずっと気になっていました。
いえいえ、PIOさんの書いていらっしゃることが
”偉そう”と言うわけでは決してないのです。
ただね、タチが悪いことに、高校卒業まではヘタにそこそこ”田舎の優等生”だったアタシ、大都会で”洗練”されてからは、自分の無知と能力のなさを見せ付けられ、自己を省みるにはとても良かったのですが、変なコンプレックスをずっと引きずっているのですね(^_^;)
『上には上がある』って言うことを、いまだに”自分の中に根ざしたもの”にできていないのかなぁ?????
あまりの未熟さに赤面、です(>_<)

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